神様

遠い山には神様が住んでいる。

神様はのんびりと暮らしている。


でも、のんびり過ぎて神様は退屈。

退屈で退屈で、たまに下界に下りてくる。

狭い下界で生き急ぐ人間たちを、

こっそりこっそり見るために。


神様は隠れるのがとてもお上手。

だから、人間たちは誰も気づかない。

急ぎ足で通り過ぎた、その場所に神様がいても。

ほんのちょっとだけ息抜きをする、

その場所に神様がいても。

誰も気づかない。


だから、神様は下界に降りてきても一人ぼっち。

神様は隠れるのをやめたら気づいてもらえるのに、

誰にも気づかれなさ過ぎたせいで、

隠れていることすら忘れています。


神様は隠れていることを忘れたまま、

人ごみの中に取り残される。

だから、何時までたっても一人ぼっち。


誰か、ほんのちょっと、深呼吸して意識を済まして。

周囲を、自然を見てみれば、

そこに神様がいるかもしれないよ。



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2006/7/23 mixi初公開

2016/11/6 カクヨムに転載

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