赤い眼の狐

雨夜灯火

01 宣言

 これは、夢オチだ。

 眼が覚めるとベッドで天井を見上げてたところで終わる話だ。それでも、ご都合主義だとか、安易な道に走ったとか、文句はなしにしてほしい。

 これは夢オチ以外のオチはあり得ないし、そうでもしないと終われなかったんだ。だから読み終えて、結末に怒るのは禁止だ。私がこうやって前もって宣言をしてるのは、この話を嘘だなんて言われたくないからなんだから。これは嘘じゃなくて、全部夢なんだってこと忘れないように。

 あ、もし、初っぱなからオチをバラされたことに対する怒りだったら、甘んじて受け入れよう。さっさとこの文章を読むのを止めて、日常に戻ってほしい。きっと、退屈でつまらない日々があなたを迎えてくれることだろう。それもそれでありだと思う。退屈でつまらないって言ったって、楽しいことがないわけじゃないんだから。でも、楽しいことに出会えない日ってある。そんな日にでも、この文章を読んでほしい。私の荒唐無稽な夢の話を。

 馬鹿げた話だ。笑い話だ。でも、私はこれを忘れたくなんかない。ただの夢なんかにしたくない。

 こうやって書き残せば、運が良ければ、また夢を見られるかもしれないから、私は語る。

 夢オチで終わってしまった物語を。

 私が、狐に化かされた物語を。



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