殺人計画書(仮)

@Mituki09

第1話

 標的が後ろを向く。その隙を逃さずに、どんと背中を押した。急に押された標的の体は、一瞬宙に浮き、次いで重力に従って落ちていく。

 どすん。

 重いものが落ちた音と共に、下が一気に騒がしくなる。

 どくん、どくんと鼓動は早く、息も荒い。

 懐から取り出した一枚の紙を、手から離した。

 これでいい。

 すぐさまその場を離れながら、高揚してくる。

 あの紙がなければ。

 あれさえなければ。

 こんなことをしなかったかもしれない。

 悪魔の紙と呼んで差し支えない、計画書の一ページ。

 その紙の右端の隅には、こう書かれていた。


「殺人計画書(仮)」

 と。

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