扉の向こう

青砥 瞳

第1話 Honey dew

貴女はさあ、レズ・SM・コスプレ・野外・・・この中でピンとくるものは、ある?

結婚してるんでしょ。お子さんは?


母親はさぁ、子供を自分と同一化することがあるよね。母親は娘を、父親は息子をライバル視したり、自分を投影して育てたりするよね。

貴女も、そうかな、それとも別の人格と割り切って考えてる?


答えられないのか、答えたくないのか、どちらだ。


貴女はさぁ、エロスとアートの境界線があるのかないのかという論議知っているよね。境界線の向こうにあるものを見たいと、本当は覗きたいのだと思ってるよねぇ。

知ってるんだよ。貴女が「ロリータ」を読んでいることを。これは、ナブコフ著の文学作品だよね。この本の中に出てくる少女はまだ身長も高くなく幼い。


私はさぁ、キーワードって程じゃないけれど、伝えたよね。

貴女には悪いけど貴女自身に興味があるわけじゃなく、別のモノに興味があるんだ。

勿論、先の本と同じように「一人の世界」でね。

わかるよね?


少し体が震えてるんじゃないの?

貴女がピンときたものを当ててみようか・・・

最初から分かっていたよ。レズ、でしょう。

貴女は男性よりも女性に惹かれることが多い。昔「ネコ」だったでしょう。

誰にでもね、性癖はある。誰にも迷惑をかけてないんでしょう、なら、いい。

レズにどっぷり浸かっているいるわけでもなさそうだ。結婚して子供を産んで。

トラウマもないのかな。それは、私ではわからないね。


あの頃、貴女は年上の細身で背の高い女性の多くからターゲットにされていた。

透明感のある肌、大きな二重の目、一見大人しく弱々しく見える雰囲気。臀部が大きかったのは、コンプレックスだったようだけど、それが女性達の目を惹いた。


私はね、早く選択してもらいたいんだ。貴女を料理するだけでは面白くないから。

選択肢は2つ。


貴女はさぁ・・・昔、文化人と呼ばれていた人々が集まっていた場所があって、男性同士が結びついていたってことも知っているでしょ?

精神的な結びつき、お互いの才能に惚れたのか、容姿が好みだったのか、肉体的な結びつきだけではなさそうだろう。どれが最初にきたんだろうねぇ。

私はね、男性には興味がない。先の彼らがどれだけ青年の時に美少年だったか才能があったのか認めるけどね。持てただろうね、サロンの男達に。

貴女なんか、比にならない位に美しく聡明で、そして、色気があった。

ああ、念のため、誤解はしないでほしい。客観的に見て、だ。

男性には全く興味がないんだから。


どうだろうね。すべすべの丘、黒髪の三つ編み、淡いブルーと白のチェックのスカートにハイソックス・・・

ははは、貴女はやっぱり、そっちの話しに興味があるようだ。


少しずつ溢れてくる

honey dew honey dew すべすべの丘から

閉じられた秘部 足を広げると そう honey dew・・・


私は「自分の世界」の中では、ロリコンなんだ。

分かっていただろう。私の想像に興味がないとは、言わせないから。


でもね、念のためにもう一度、「私の世界」の中ではね。小説のように。

愚かなことは、しないんだ。

イメージの中で広がり膨らんでいく・・・。


エロスとアートの境界線があるように、私にも「想像のあちら側とこちら側」は、あるんだよ。


想像は、創造と同じように自由だろ?

ただ、勿論、自由には責任がついてくるからね。

覗きたがって、自ら私に近づいた貴女を濡らせるのは、罪じゃないだろう?


ほうら、また、震えて。


(続く)



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