朝顔と夕暮れ時の君

猫slime

第1話

 アサガオ(朝顔、学名: Ipomoea nil [1]、英: Morning glory)は、ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物。日本で最も発達した園芸植物。古典園芸植物のひとつでもある。中国語で牽牛(簡)。日本では「蕣」の漢字も当てられる。―Wikipedia参照


 僕は朝顔の事を調べていた。

 その行為に何となくか、意味があったかは僕にも分からない。ただ、運命の様にそれを調べていた。

 花言葉は、「儚い恋」―たしかに。

 否定は出来ない。今の僕にぴったりかも知れない。

 僕はゆっくりとパソコンを閉じ、考える。

 花言葉を考えたのは誰だろう。

 そんな事は、本人にしか分からないだろう。

 そう思って考えるのをやめる。

 誰もがこんな体験したことがあると思う。

 叶うことのない恋。まさに夢のような恋。その人の事を想うだけで、胸の奥が痛くて、辛くて、でもどうしようもない気持ち。

 片思いなのは分かってるけど、伝わって欲しくて、伝わって欲しくない気持ち。

 今、僕は親友の彼女に恋している。

 決して許されてはいけない恋。そんな事は分かってるけれども、振り返って欲しい。

 でもきっと振り返ってくれないのは分かっている。

 分かっている。分かっている。自分を落ち着けるように、脳の中で呟く。


 ―だから?諦めろって?


 頭の中で僕の声が響く。それは深い響きだ。和太鼓の様に体に染み渡る響き。


 ―無理に決まっている。僕は彼女のことが大好きだから。


 激しい気持ち。抑えたくない気持ち。でも、抑えられてしまう気持ち。


 ―きっと振り向いてもらえる。


 確かにそれが本心なのだ。伝えるのがゴールじゃない。それは知っている。

 僕は僕の声に反論する。

 そんなことをして何になる。親友を傷つけるつもりか?幸せを望めないのか?手伝うって僕が言ったんじゃないか。あの時に僕の気持ちを伝えておけばよかったじゃないか。今更何を言う。

 僕の僕自身による正論に僕は少し落ち込む。でも不思議と心の昂りは、収まりはしない。

 それは知っている。

 そして同時に後悔する。

 確かに、あの時に言えば良かったのだ。その気持ちを。

 僕はそれを言わなかった。いう勇気が無かったのだ。

 そう、あの時。

 4年前のあの時、僕が『現在』を知っていたら何が出来ただろう。

 きっと何も出来ない。僕は意気地無しだ。

 心のどこかで何もしなくてもどうにかなると思っている。

 それは『現在』も、そして多分これからも。

 そういう運命なんだ。

 自分に言い聞かせる。

 それも言い訳と知りながら。









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