第三十三話【ロシア連邦と中華人民共和国】

 ロシアと中国。言わずと知れた国連常任理事国。合衆国の非友好国。

 カネ・カネいっているカネの亡者、経済原理主義者がどんなデコレーションを施そうと合衆国の味方でない奴ら。


 その昔、仮想敵はソ連だった。ソ連の野郎どもが自壊した結果、仮想敵がいなくなってしまったのではないか? などと思われた時代もあったが、何のこともない。ロシアがきっちり引き継いだ。さらに中国までもが自ら合衆国の仮想敵として名乗りを上げた。安保理でのあいつらの日常的振る舞いを見て味方だとほざく奴がいたらハンマーで頭をぶん殴ってやりたいな。きっと正気に戻るだろう。


 奴らは日本をフクロにしている国々の中の二つでもある。日本とは日常的に領土で摩擦を起こしている。国連常任理事国二カ国と日常的に摩擦を起こしているんだから日本もどうしてなかなかやるもんだ。タフな神経だ。ま、ロシアや中国から見れば、国連常任理事国様の俺たちに逆らうとは生意気な国だ、くらいに思っているんだろ。中国の方は「敗戦国が戦勝国に逆らっていいのか⁉」などと言っていやがったな。


 そこで、『敵の敵は味方』となる。実に合理的だな。

 何から何まで違う合衆国と日本。人種も民族も信じる宗教さえも。

 こんな二カ国が優に半世紀以上『同盟国』でいられるのは、共通の敵がいるから、以外に説明がつくか? これは何も日本を『同盟国』として利用するために無理に仮想敵をデッチ上げているわけじゃねぇ。たまたまだ。たまたま合衆国と日本の仮想敵が一致している。

 『同盟国』として保つわけだ。


 そうそう、忘れていたが、国連常任理事国は核保有国と同じ意味だ。

 核保有国と日常的に摩擦を起こしているんだから日本もどうしてなかなかやるもんだ。タフな神経だ。


 もっとも、あらゆる案件に〝陰謀論〟ってのはつきもので。この件についても無いわけじゃあない。日本の抱える領土紛争に程度の濃淡こそあれ、その全てにアメリカ合衆国が関わっている。〝合衆国による日本の占領統治〟と、〝日本の領土問題が顕在化した時期〟とがカブっている——っていう関係があるってことだ。

 だからこういうことを言う奴が現れる。

 日本が日本の周り全ての周辺国と未来永劫摩擦を起こすようトラップが仕掛けられたのだと。


 だけど俺に言わせりゃ妄想だな。日本とロシア・中国、ついでに韓国とあと北にもう一つなんて、領土問題関係なしに連中元々仲が悪い国同士じゃないか。

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