第59話 再入院する夢を見る(過去の精神科閉鎖病棟でのトラブルも思い出す)

ひどい夢をみた。

再入院してしまう夢なのだが、今通っている病院の地下にもう一つ病棟がある、という設定で、そこに入院させられる夢だった。


夢の中のそこは和風な作りで壁などはウッド調だった。

最悪なのは夢の中の時間が長く、体感で三日間入院したことだ。

夢の中で寝て、起きたらまだ精神病棟の中で絶望する、というのを醒めない夢の中で繰り返した。


自分の食べ物を勝手に食べられてしまったり(現実でも、精神病棟備え付けの冷蔵庫に入れておくと、名前を包装に書くルールなのに、よく盗難が起こるので、ナース・ステーションの冷蔵庫に預ける(食べるときは看護師さんに出してもらう)人が多い)、主治医に「私は任意入院なんですか? それとも医療保護入院ですか」と、尋ねたら「医療保護入院だね」と答えられてより絶望するなど、細部が妙にリアルで、苦しく、悲しかった。


物がなくなって、看護師がなくしたのに看護師のミスをなすりつけられて、私のせいにされたり(これも、実は残念ながら経験している)、お風呂に入るのに行列したり……精神病棟の負の部分を煮詰めて濃くしたような、夢だった。


目が覚めて隣にマロンが寝ていて、私は心からほっとした。

マロンは布団の片隅でちょこんと寝ていたアンディと違い、掛け布団の中に潜り込んで腕枕をせがむ、ちょっと変わった可愛いわんこなのである。


あまりに精神的にキツい夢を見たので、マロンのふわふわの毛に触れて、匂いを嗅いだら涙が出てきてしまった。


絶対に再発したくない、という、今の私の心境と、生活がガラリと変わったことへの疲労、本当に自分は大丈夫だろうか、と自身を疑う気持ちが見せた夢だと思う。


なりたくない未来(再発)を回避するための努力は今現在、きちんとしていると思う。睡眠も毎日7時間以上、大体8時間は、とっている。


でも、今まで自分では選べない病気(統合失調症)に散々翻弄されてきた。

その激しい波に疲れ、つい最近まで、自らの人生を投げかけていたのだ。


願っても叶わないなら、願わない方がまだいい。

希望があるから、苦しくなる。


私は、捨て鉢になっていた。


正直に言う。

努力するなら叶うなら、病気を治すためになんだってする。


苦しい。辛い。怖い。

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