ある日近所の公園に赤ちゃんが捨てられていました

@tutanokaeru

第1話出会いと別れ

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

1話で完結です、このお話は本当におもしろさはないです。



冴木良太(37)無職 性別:男

普通に生きようとして失敗して大学中退してニートひきこもりになる

数年後に回復、その後アルバイトをやったり辞めたりを繰り返えす。

1年前に両親が他界。残ったのは飼っていた猫二匹と犬一匹

そして両親が残してくれた遺産

現金と家と月に20万くらいの不労所得

働かなくても一人だったら一生暮らしていくには十分すぎるお金を持っていた。


ある日、近所をいつも通り犬を連れて散歩をしていると

公園の砂場の横に見慣れないダンボール箱が置いてあった

中にいたのは1歳に満たない幼児、書置きなどはなかった。

曇天の空、携帯電話も持ってなかったし今にも雨が降り出してきそうだったので

通報する前にいったん家に連れて帰ることにした

今は12月、季節は冬。寒さで体力を失っているのかそれとも寝ているだけなのか

赤ん坊は泣きもしない。これじゃあいけないと、普段は節約だと思ってめったに使わないストーブを納屋から大急ぎで引っ張りだしてきて火をつけた。

家の猫二匹が物珍しそうに赤ん坊が入ったダンボール箱を覗いている

自分の手を温めて赤ん坊に触れると、熱いくらいの体温を感じられたのでこれで一安心、よくよく見ると血色もよかった。

落ち着いたところで児童相談所に通報した、警察か相談所か迷ったが相談所にした。事情を説明すると明後日家に来ると言われた

それを聞いて近所にあったベビーショップに離乳食とミルクとオムツを買いに行った。そして家に戻ると赤ん坊が起きてわーわー泣いていた

あまりにうるさかったのだが元気なようで安心もした。

そして明後日になり相談員の人が来た。事情を説明してすぐにでも引き取ってもらえるのかと思っていたら、赤ん坊の様子を見ていた相談員の人が

引き取り手の里親が見つかるまでに時間がかかるので、その間預かってもらえませんかと言ってきた。とんでもない!この一日二日だけでもうるさくて夜も眠れない。ここが隣家から離れていたから、夜泣きの声も迷惑にならないだけマシだったものの、近くに隣家があったら申し訳なくて発狂していたと思う。何とかならないかと掛け合ってみたが押し切られてしまい。しばらく赤ん坊を預かることになってしまった。


 それから半年が過ぎ、一年が過ぎた。まだ相談員は来ない

赤ん坊だった子も成長して二歳になろうとしていた。

この一年間ネットや本で子育てに関する情報を集めれるだけ集めて実践していった

結果はうまく子育てなんてできなかったと思う。

ある日スーパーに買い物に連れていったときは

泣くは暴れるわでてんやわんやだったので何も買えずに家に連れて帰ったこともあった。大変な事があっても、その子の真っすぐな目を見ると

何とも笑えるから不思議だった


 それから4年が過ぎた、相談員はまだ来ない

赤ん坊だった子も成長して春からは小学生になる

ランドセルや制服や教科書や備品、買いそろえるにはなかなかの出費だったが

喜んでいる姿と顔を見てるとそんな出費も全然痛くはなかった。

二年生のときには階段から転げ落ちて骨を折って入院することになった

その時は毎日見舞いに行った。注射が嫌いだったけれど

泣くのは我慢していた強い子だった


 それから6年が過ぎた、相談員はまだ来ない

赤ん坊だった子も成長して思春期・反抗期を迎える

ある日、とあるホームセンターから電話がかかってきた

話を聞くと万引きして捕まえたので店に来てくれとの事だった

お店の人に謝り弁償金を支払うと言ったのだが店員の人は

拒否した。その代わりもう二度と店には来ないでくれとのことだった

帰り道から家に着いてからも何時間も説教した

その子は小さい声で返事をしてポロポロとずっと涙を流して泣いていた


 それから3年が過ぎた、相談員はまだ来ない

赤ん坊だった子も成長して進路を決める時期になっていた

ある日、何になろうかと悩んでると相談された。

私は自分がダメな奴で嫌いでイヤだったから努力して別のすごい自分に

なろうとして失敗した。だから今のその自分とその体を愛してあげて

そしてその今の自分と共に望むものを手に入れていくのが

進路、つまり人生だと思うなぁ。と答えた

その子は首をかしげて分かんないという顔をしていた



 それから………。


それから何年が過ぎただろう、相談員はもう来ない

赤ん坊は預かってから二週間ぐらいで施設の方に引き取られる形になった

別れの日のあの目は今でも忘れられない

あの時の何とも言えない感情は今でもとても印象に残っている


あの子はあれからどうしているのだろうか

名前も知らない赤ん坊は今どこで何をしているのだろうか

何をしててもどこにいても生きていればそれでいい

生きていればそれでいい

そう思う

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