【短歌】体が真っ二つ

工藤吉生(くどうよしお)

体が真っ二つ



サンドバッグにされた自由をつまんだりするとしようかヴェネツィアの河


タリラリラン春さんざめくルーベンスここで会ったがすれちがうのみ


くす玉がひらいたままだおめでとう実にしずかなフロアーである


機械にもなったんだけど人間に戻る技術ができヒトがえり


スズメから落ちた涙でつくられたオレの良心ですひさしぶり


マイケルという名の知人はいないんだルーシーもいない晴雄ならいる


ももんもん→ももんがでした サザンザン→二度と会えないかもしれぬ父


産廃を参拝しないタラバガニたられば言わないオレは折れない


夜の中を立っている気だ朝立っているのと同じつもりらしいぞ


家にあるものを使ってできるだけさっきのことを忘れる方法


ロドリゲス言ってみただけワシントンDCちょっと言ってみただけ


箱があるそこで体が真っ二つ手品師と見せかけて首相だ


トンネルだ出口だ海だ端的に言えばつながれている脳みそ


ドラえもんニセ最終回 植物になったのび太の上、夏の雲


一日が毎日あればとろろ食うたびに歌おうとなりのトトロ


エリエリレマサバクタニ裁かれて谷間はゆびとゆびとのあいだ


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