【短歌】ゴチャゴチャのゴチャ

工藤吉生(くどうよしお)

ゴチャゴチャのゴチャ



カサブタは触っちゃダメと言ってくれたミナコちゃん、オレまだいじってる


呪いにも似ているジョーク呪わずにいられなかった人の横顔


被害者の知人女性が心情を吐露し画面はその胸映す


その人に近づくほどにその人のオレの視界に占める割合


表札のアルファベットを丁寧に読んでナルセと知った 用無し


ゴチャゴチャな室内だろうゴチャゴチャのゴチャが外から見えている家


広告を白いよだれのようにして101のドアの昏睡


立ち小便をしている人を二階から見ている 音をたてないように


たった今、今の今まで持っていたペンをどこかになくしてしまう


このへんにお店があった。今はない。ゴルフの素振りの人はまだいる


「さみしい」と膝を抱えてつぶやいた君がドラマの場面そっくり


どの店に行ってもそこのスタッフが自分につとまるかが気がかりだ


だらしなさを音にしながらぺったんこぺったんこサンダルの午後五時


ゴミ箱があると信じている場所へ投げつけそれに背を向けて寝る


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【短歌】ゴチャゴチャのゴチャ 工藤吉生(くどうよしお) @mk7911

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