最大Lv1の俺が魔王を倒すことになりました。
上井カルタ
Save No.0 SaveNo.0 ~俺と幼馴染がゲームの中に転移しました~
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
ある夏の日に、あるマンションの1Fに、その声は響き渡る。
ちょうどマンションの入り口からから入ってきたおばさんがびっくりするくらい大きな声で
「よっしゃ!やってやったぜ!」
あ、どうもみなさん、現在絶賛ゲーム中の男子高校生、
幼い頃からゲームをやっていて、今では一日のほとんどの時間をゲームに注いでいる、《ネトゲ廃人》だ。
「それにしても、今日の敵は手ごわかったなぁ。」
俺はそうつぶやき、首にかかっていたヘッドフォンを外し、背を伸ばした。
俺がやっていたゲームの名は、『DORAGOALCANAR』通称『DGA』。
プレイヤー人口 約10億人。バトルはもちろん、農業、商業などさまざまな楽しみ方がある、全世界ゲーム売り上げNo.1の超人気RPGゲームである。
「おっと、もうそろそろメタルキャンサー大量発生の時間だ。急いで準備準備っと」
このゲームには《エナジー》と呼ばれるものが存在する。このエナジーというものは《クリィチャー》という敵を倒すともらえる、いわば《経験値》だ。
エナジーを集めれば集めるほど、そのアバターはLvアップし、強くなっていく。ちなみにメタルキャンサーとは、倒すとそこらへんのクリィチャーより、大量にエナジーを放出してくれるありがたいクリィチャーである。
「よっしゃ!準備完了!いざ!メタルキャンサー狩りへ・・・」
彼がディスプレイに向かおうとした瞬間――
「「お兄ちゃん!!」」
「なっ、植葉!部屋に入るならノックくらいしろ!」
乱暴に開け放たれたドアの前には、ピンク色のシャツで短パンの俺の妹、
「お兄ちゃん?、何度言わせればいいのかな?「私が呼んだらすぐに来て」って!」
「・・・・呼んでた?」
「20回ほど呼んだけど?」
そういえばヘッドフォンの音を大音量でゲームやっていたんだっけ。
「てことで・・・お兄ちゃん?覚悟はできてるよね?」
拳を強く握った妹が迫ってくる。これはヤバイ。マジでヤバイ。
「待て!妹よ!これには深いワケが・・・」
ドスッ!
―――次の日
キーンコーンカーンコン
「オッス!勇也・・・ってどうしたその顔のアザ」
「昨日ちょっとな・・・・」
「また植葉ちゃんにやられたのか?まったくこりないやつだな」
笑いながら言うコイツの名は
俺と同じようにゲームが好きだが、廃人というレベルまでには行かない。しかしコイツには納得いかない点がある。それは・・・・《モテる》
コイツは俺とは違い、成績優秀、スポーツ万能、さらにイケメン!。女子からの人気はとにかくすごい。ふざけるな。
「アイツ加減ってもん知らないからな。その点、一人っ子のお前がうらやましいよ」
「俺はお前がうらやましいくらいだぜ?いいよなー兄弟って」
「お前さぁ・・・・」
「―――おーい、勇也ー?」
「なんだ千春?」
俺を呼んだのは、ポニーテールで巨乳で巨乳の俺の幼馴染、
幼稚園から小、中、高校まで一緒の幼馴染だ。そして、コイツも空斗と同じように《美人》だ。顔の形は綺麗に整っており、肌はきめ細かで白く、スタイルが良く、誰から見ても美少女だと思えるほどだ。
「あのさ、今日の放課後空いてる?」
「悪いが俺は放課後、降臨クリィチャー「魔帝 ゾルドミアス」を討伐するんだ。他をあたってくれ」
そうだ、今日は月に1回だけランダムにダンジョンに現れる、降臨クリィチャーを討伐する日だ。降臨クリィチャーは普通のクリィチャーでは絶対にドロップしない、武器やアイテムをドロップするのだ。遊んでいる時間がもったいな―――
「ダメ!勇也じゃなきゃダメなの!」
ドキン!俺の
「勇也じゃなきゃウチのパソコンが直んないの!」
わかってたよチクショウ!
――――――――――――――――□■□■□―――――――――――――――――
―――放課後
「で、どこが直んないって?」
「直んないっていうか、エラーが起きたっていうか」
「エラーねぇ・・・ん?、おいコレって!!」
エラープログラムの中に含まれていたのは、勇也がドハマりしている、DORAGOALCANARの文字があったのだ
「なんでお前がDGAやろうとしてんだよ」
「勇也がその話ばっかするからちょっと興味がわいちゃって」
はい、廃人コース確定。
―――10分後
「んーおかしいな?なんで起動しないんだろう」
普通はすぐに表示されるGAMESTARTのボタンがない
「ちゃんと説明書にはGAMESTARTのボタンが表示されますって書いてあるのにね」
「不良品かどうか確かめたのか?」
「うん。会社に送ってみたけど、特に問題ないって」
「そうか・・・」
そう話しながら見ているとあるところに目が行った。
「LINK・・THE・・WORLD?」
はじめてみるアイコン、《LINKTHEWORLD》一体何なんだ?
「とりあえずクリックしてみる?」
千春が不安まじりな表情で聞いてくる。
「押してみるか?」
「・・・うん」
恐る恐る俺はLINKTHEWORLDのボタンをクリックした。
すると、GAMESTARTのボタンが現れた。
「おお!やったね!」
「よし!後はGAMESTARTを押すだけだ!」
俺と千春は喜びながら、GAMESTARTのボタンをクリックした。
するとDORAGOALCANARのタブが閉じてしまった。
「「あれ?」」
俺と千春が首をかしげたその瞬間、突如足元に魔方陣らしきものが浮かび上がった。
「えっ・・・何コレ・・・」
「何なんだ一体!?」
そう話している間に魔方陣の光がより一層強まった。
「千春!」
俺は咄嗟に千春を胸に手繰り寄せた。
俺達がいた部屋を、青い光が包み込む―――
――――――――――――――――□■□■□―――――――――――――――――
「――――ん・・・ここは・・・一体・・・」
気づけば周りは一面花で覆われていた。
「すー・・・すー・・・」
「ん?」
隣を見ると勇也の腕に抱きついた千春がいた。
「お、おい千春?」
腕から伝わる、やわらかい感触と温もり。これは千春のものだと勇也は思った。女子ってこんなにやわらかくて暖かいのだと。
そして、なぜかいいにおいがする。勇也は不思議に思ったが、すぐに理解した。これは千春からするにおいだと。
「ん・・・ゆ・・うや?」
「起きたか。おはよう」
千春は、自分の今の状況を悟った瞬間、頬を赤く染めた。
そして、勇也にこう言い放った。
「「勇也のエッチ!!」」
「なんて理不尽!」
千春に説明をすること5分。ようやく理解してくれたようだ。
「もう・・・それにしても、ここ、一体どこ?」
千春があたりを見回す中、俺はあるモノに気づき、指を差した
「・・・千春、アレを見てみろ」
「えっ?・・・」
千春が見た先には、体長5mはある大きなヒト。顔立ちは日本人とは少し異なるが、間違いなくヒトだ。だが、間違いなくこの世には存在するはずのない生き物だ。
「何アレ・・・」
「―――グランドヒューマノイド、簡単に言えば巨人だ」
「えっ・・・それって・・・」
「DGAにでてくるクリィチャーの名前だ」
「じゃあつまり・・・」
「そう・・・」
勇也は決心した。
「この世界は、ゲームの中だ」と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます