小説投稿サイトでバトルロワイアル

ちびまるフォイ

最後に生き残るのは……

SNS教室では今日もにぎやかだった。


小説家になろう

「やぁみんな、おはよう。いい天気だね、小鳥も美しいよ。

 今朝のニュース見たかい? また新しい小説サイトの仲間が増えたんだってね」


なろう君はこのクラスの人気者。

成績も一番よくて、さらに友達も多い。

リア充が爆発するなら彼が誰よりも早く爆死する。


エブリスタ

「クソ……なろうめ! 必ず超えてやる……クソ! クソ!!」


エブリスタ君は仲が悪い。ライバル意識を燃やして突っかかる。


ハーメルン

「はぁ……エブリ君となろう君……はぁぁぁぁ♡」


ハーメルンちゃんは妄想癖が強い。俗にいう腐女子で、目に見えるすべてを創作へと転化することで有名だ。創作の鬼。


ピクシブ

『今日も さわがしい みんな』

ピクシブちゃんはフリップで言葉を話す。

絵が上手で、ポエミーな詩を書いている。


そして、なんだか書くのめんどくさくなってきたので以下はダイジェスト。

どうせ死ぬので関係ない。


無口な仕事人! 星空文庫!

「フッ……小説とは静かに書くもんだぜ」


クラスの番長! 作家でごはん!

「感想よこせオラァ!! 批評すっぞ!!」


ケータイギャル! 魔法のiらんど!

「つか、小説とかまじウケルwwwww」


影が薄いオタク! ノベリスト!

「…………どうせ僕なんて……」


あとカクヨム。


ホームルームが始まるまでにぎやかな教室だったが、軍人を従えた担任が入ってくるなり空気は一変した。


「あーー、みなさんこんにちは。担任です。

 みなさんも知っているように小説サイトは増えています。増えすぎです。

 そこで今日はみなさんにちょっと殺し合いをしてもらいます」


「「「 な、なんだってー!! 」」」


「最後の1サイトになるまでです。

 最後に残ったサイトだけが今後も運営していきます。

 ぶっちゃけ、サイトが1つの方が出版社側も楽なんです」


聞きたくなかった出版側の裏事情を知ってしまった小説サイトたち。

否応なく無人島へと送り込まれ、望まぬ戦いに身を投じることとなる。

この間、わずか1時間。

ショートショートもびっくりのスピード展開である。


「殺し合うって……何で戦えばいいんだよ!!」


作家でごはんは何も武器を渡されていないことに腹を立てた。


「星空文庫の姿が見えないけど……僕はどうせ負けるんだ……」

「まさか、どこかでBL展開を! ハァハァハァハァ」

「殺し合いとかマジつらたんwwww」


ノベリスト、ハーメルン、iらんどはイマイチ緊張感がない。

そうこうしているうちに向こうの森で火柱が上がった。

火柱のふもとには真っ黒焦げになった星空文庫が倒れていた。


「ククク……なるほどな……わかったぜ、武器ってのがよ。

 ここでは自分のサイトに投稿されている小説が武器になんだな。

 投稿された小説がここで具現化されるんだ!!」


『なぜ それ 敵である わたしたち 教える?』


「うるせぇな!!」


ドジっ子厨二秒のエブリスタはピクシブに突っ込まれて赤面激怒。

いつの時代も解説役ごつごうしゅぎというのは求められるのだ。


「出てこい! 小説家になろう!! 今日こそ決着をつけてやる!!」


その後、なんやかんやあって、小説家になろうとエブリスタは激突した。

思い思いのボス戦BGMを脳内で流してもらえれば幸いだ。


「小説家になろう、どうやら残ったのはてめぇと俺だけみてぇだな」


「エブリスタ! 僕たちは競い合う仲間だったじゃないか!

 一緒にお互いに助かる道を探そう! 二人でならきっと見つかる!!」


「てめぇのそういう優等生ぶった態度が気にくわねぇんだよ!!

 書籍化にアニメ化までしやがって!! 見下したその態度が!!」


「エブリスタ、君だってアニメ化してるじゃないか!」


「一緒にするんじゃねぇ!! この劣等感はお前にわかってたまるか!!」


エブリスタは小説を抜いた。

それが戦いの合図となり、小説家になろうも小説を抜く。

激しい光が二人を包み込み結末は誰もわからないものとなった。


 ・

 ・

 ・


教室で待つ担任のもとに、サイトが1人やってきた。


「ふむ、君が生き残るとはね、意外だったよ。カクヨム」


生き残ったのはカクヨムだった。


「君はまだサイトの歴史が浅いし作品のストックもない。

 それだけにほかのサイトよりも武器がない。圧倒的に不利だ。

 いったいどうやって勝ち残ったんだい?」


「簡単ですよ」


カクヨムは答えた。



「この戦いを投稿したんです。俺が勝つように。

 あの島では小説が具現化するんでしょう?」

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