世の中からリア充を消すボタン

世の中からリア充を消すボタンを作った。作り方は教えない。

まず初めに言っておくが、俺はいわゆるオタクだ。オタクなのに自分はオタクだと名乗らないような下賎な輩とは違うのだ。そして俺には2人オタク仲間がいてな、磯部と吉田っていうんだ(友達はそれだけしかいなかった)。よく3人でアニメの聖地巡りしたり、吉田の家に泊まって徹夜でゲームしたりしてたんだよ――アイツは裕福で、最新のゲームが揃ってたからな――。

あの日も吉田の家でゲーム三昧だったんだけどさ、磯部が突然「リア充をホントに爆発させたらどうなると思う?」って――。天才だと思ったね(あの時は)。深夜ってのも相まって吉田も俺もノリノリになって、「爆発したリア充のモノマネ」とかいって奇声発しながらバカやってわけ。

そのとき俺は、磯部より遥かに天才的な(今考えると非常に愚鈍だ。あんなこと言わなければ――)ことを思いついたんだ。つまり、リア充を爆発させる装置かなんかを作って実際に試してみようってことだ。それを言ったら吉田も磯部も、一瞬間をおいてから「お、いいねェ…」なんて。なんで急に素っ気なくなるのか、あの時の俺は理解できてなかった(バカだ)。俺の技術力じゃ無理とでも言いたいのだろうか(バカだバカだ)。まあ本音を言うと少し不安ではあったから、吉田と磯部と俺の3人で協力して作ろうと思ったのに、どうもノリ気になってくれなかった(協力してくれるわけないだろバカ野郎)。

だから俺は1人で(やめろ)、部屋に籠って(←バカ)、何日も(ごめんなさい)、徹夜で(誰か殺して)、必死で作ったんだ。俺は賛同者がいないと一生懸命になれない様な下賎な輩とは違うのだ。

遂に完成したそれは、リア充を爆発、まではいかなかったがリア充を消すことが出来るというそれはそれは素晴らしい代物だった(素晴らしくない最低だ最低だ最低だ)。

黒光りするボディの上にある真っ赤なボタンは何度も俺に押すように急かした。まァ、そう慌てるなって(あのときコイツをぶっ壊していればぶっ壊れなくてすんだ)。

磯部が天才的な発言をしてから、1ヶ月とちょっとかな。性懲りもなくいつものように吉田の家に集まった磯部達にボタンを見せたんだ。どうせなら2人の前で押そうと思ってね(ふざけてる)。そしたら磯部達は無理矢理口角を上げながら「へへっ…すごいね…。」なんて言うんだ(当たり前だ)。ひょっとして、まだ俺の技術力を疑ってるのかと思ったね(あの時はそう思ったんだよ)。でもいいんだ。


今すぐにでもこのボタンを押して――


リア充を消して――


そのあと3人で外に出て――


人口密度の下がった街を見渡して――


――俺の技術が本物だって知らしめるんだ


「リア充、爆発しろ―――――」











そしたらね、どうなったと思う?ねェ、どうなったと思う?磯部と吉田、キエチャッタ。そう、つまり、それはどういうことかというと
















俺の技術は、間違ってたってコト?アイツらがリア充だったなんてあり得ないし。あんなボタン作らなければ、知らずにすんだ、知らずにすんだのに。俺のバカ!クソ!

あああああああああクソっ!クソっ!クソっ!クソっ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ!!!!

















))


あれ?でもよく考えてみれば、俺が消えてないってことは、俺の技術は間違ってなかった…?そうだ、そうに違いない!何故なら、俺はリア充じゃないから。なァんだ。

そうと分かれば、さあ今すぐにでも外に出て清々しい風を浴びよう!

磯部、吉田。お前らは俺のための使い勝手のいい人形だった。

短い間だったけど、アリガトウね。



バイバイ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボタン @FUDE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ