飛行船のような幻

あの遠き日よ。歴史の一頁として私は忘れない。

拳を突き上げて喜び、滝が流れるように泣いた。

忘れられるものか!

まだ歓声が聞こえる。私を見つめる、勝利の女神の目が微笑みに変わったのをはっきり感じた。

忘れてはならない。

足の先まで私であった。指の先まで激情が宿っていた。全ての人が魅了されていた。

覚えている。

空の向こうの果てし無い宇宙まで飛べそうな羽が生えていた。

飛んでいる。

今、私は、もう貴方には見えないところまで来てしまったようだ。


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