白赤のファンタジア
お菓子なテディベア
第1話
針の擦れる音で目を覚ました。
ぼんやりと感じ取れるのは微かだがしっかりとした揺れと風を切る音だけ。
かたんかたんと規則正しいリズムにもう1度瞼を閉じてしまいそうになるが、ある不自然さに驚いて再度目を開く。
「…………人が、いない?」
目を丸くし、ぱちくり白黒させて人の有無を改めて確認するも見間違いなどではなかった。
兎に角パニックになったって仕方がないと大きく深呼吸を繰り返し状況を整理しようと試みる。
ここは何処だ?
___街中に通る電車の中。橋の上を通過中だからか下の様子は伺えない。
何故自分以外誰もいない?
___解らない。でも今はいないだけで、見えないだけできっと1人くらい近くにいるかもしれない。
何が起きてる? どうしてここに?
___判らない。理解出来ない。そもそも今まで何をしていたのだっけ……?
「…………どうなってるの…………?」
いくら考えても答えは出ず、謎は深まるばかり。
いつの間にか降り出した雨が、その呟きを掻き消して激しく車体を叩いている。
そして呆然としている暇もなく、そう遠くはない場所から腹と頭を同時に殴られるような重く鈍い衝撃が炸裂した。
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