鮎川哲也賞最高傑作!『屍人荘の殺人』今村昌弘 著
『屍人荘の殺人』プレビュー
第27回「
『
~あらすじ~
その明智に、映画研究部から合宿参加を求める依頼があった。その合宿は半分コンパを目的とした軽薄なものであったらしいのだが、ある日、部室で『今年の
鮎川哲也賞とは、
本作には登場人物がなんと十四人も出てきます。『宇宙戦隊キュウレンジャー』の最終構成人数である十二人よりも多いです。本作はクローズドサークルものであるため、その全員が一箇所にかたまり、しかもほとんどが大学生。デビュー作でクローズドサークルで登場人物が多くてほとんどが大学生? うっ、頭が……(ムーンライト遊技的な)
しかしながら何の心配もいりません。時代は進み、人は進化し続けているのです。本作の登場人物は、誤解を恐れずに言えば、非常にライトノベル的にはっきりと書き分けられており、しかも名前と人物のキャラクター性に共通項を持たせることで、より区別しやすいという配慮まで成されています(演劇部の美人先輩の名前が「
加えて、文章も非常にリズミカルで、すっと頭に入ってきます。全体分量の三分の一に差し掛かる頃合いでやっと事件が起きるのですが、(その前兆のようなものが現れていることもあり)決して退屈しません。文章の巧みさとキャラクターの個性で読ませる感じですね。こういった辺りも非常に考え抜かれて書かれたものであることを感じます。
さて、ここまで書いてきて、作品の内容にほとんど触れていないことにお気づきになったかと思います。あらすじでも事件が起きる前までしか書いていません。これにはわけがあって、本作はぜひ、何の事前情報もなしに読んでいただきたいのです。私としては「クローズドサークル」ものであるということすら伏せるべきなのではないかと思ったほどです。ですが「クローズドサークル」ものは人気のガジェットであり、これをきっかけに読んでくれる人も多いのではないかと思い書くことにしました。不安だ、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、面白さ、そして読みやすさは私が保証いたします。お読みになられたら、また、「ネタバレありレビュー」でお会いしましょう。
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