番外編コラム
最高傑作の前に立ちはだかる壁『月光ゲーム』
この二作は、
「そんなに傑作なら、ここで紹介すればいいんじゃないの?」と言われそうです。そう、紹介したい。何としても読んで欲しい。ですが、この二作の前には、大きな壁が立ちはだかっているのです。その壁こそ、『
この『月光ゲーム』何が壁なのかといって、登場人物の多さです。全部で十七人もいます。「長編小説なら、それくらい」と思われるかもしれませんが、本作は、「脱出不可能なエリアに閉じ込められる」という、いわゆる「クローズド・サークルもの」なのです。十七人がほぼ一気に出てきます。『仮面ライダー
「じゃあ、『月光ゲーム』をとばして読めばいいじゃん」と言われそうです。そう、それでもいい。いや、よくない。なぜって、読み切りミステリの火村シリーズと違い、江神シリーズは主人公たちの青春ストーリーという縦軸があるからです。江神を始め、主人公アリス(火村シリーズと同じく作者と同名の登場人物がワトソン役を務めていますが、火村の相棒とは別人です。作品自体も恐らく別世界です。同じ「オプティマス・プライム」という名前を持っていても、作品により別人。みたいなものです)たちが辿る時間軸通りに読んでいってほしい。アリスと江神の出会い、そこからストーリーを楽しんで欲しい。それでこそ、第二作の『
本エッセイのテーマとは逸脱するので正式にご紹介は出来ませんが、『月光ゲーム』読んでみて下さい。『月光ゲーム』不満点は、ここだけです。事件が起きて以降の展開は一気に加速します。江神が見事な推理を披露します。
第二作の『孤島パズル』は問題ありません。それでも登場人物が十五人(江神とアリスを除くと十三人)出てきますが、年代や役割がばらけているため読みやすくなっています。そして、いよいよ『双頭の悪魔』です。みんなでこの感動を共有しましょう。
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