身近に今も潜むもの
姫宮未調
第1話 すぐ後ろにいた
この話は長年の友人から聞いた話。
ボクは今さいたま市に住んでいるが、実際の出身地は目とはなの先の川口市芝園町。その芝園団地に住んでいた。
幼稚園のころから毎日、エレベーターホールで遊ぶことが多かった。
この話を聞いたのは、数年前。
ボクは今の家に引っ越してから20年以上、友人も引っ越してから20年未満。
そんなに経ってから聞かされた。
「実は遊んでるとき、君の後ろに男の子がいたんだよね。」
二人でよく遊んでいたし、たまに男の子とも遊んではいた。だけど、二人で遊んでいたときのよう。
「君、気がついてないみたいだから言わなかったんだけどね。」
よく、瞳の色素が薄いと視えやすいというが、友人よりも茶っこい瞳のボクには全く感じることもなかった。
多くは語らなかったが、たぶん、彼の姿は子ども心に異様に映っていたのかもしれない。
だから当時に話すことを躊躇ったのだろう。
……いや、彼女の性格上、ボクが気がついてない時点で視なかったことにしようとしたのかもしれない。
気のせい、気のせいと。
その彼は今もそこにいるのだろうか。
あの団地には、自殺や他殺の不穏な話は聞いたことはないけれど。
まぁ、噂によると自殺や一家心中、神隠しなどが多発した場所らしい。
生まれてから12年もいたけれど、ボクの周りは平和だったということかな。
ん?ボクが平和?……精神的にはその友人がいなければ、明るい性格を維持出来なかった。だから、彼女の存在は今でも大きい。
現在、かなりの伐採と舗装をされ、中国の方が大勢お住みの芝園町である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます