タブレット・シャーマン(300字SS)
――シャーマンが来た。
村中に板木の音が響き渡る。
細身黄肌のシャーマンは、不可思議な笑みを口元に湛え、黒曜の魔法の板を広げていく。
「今日、風、良い、すぐ」
シャーマンは片言でしゃべり空を仰ぐ。常のように雲一つない蒼穹を常とは異なる風が吹く。砂が頬を叩いて抜ける。
「皆の者。祈りを捧げよ」
「要る、ない。奇跡、ない」
長老はお構いなしに指示を出す。一人二人。神へ捧げる舞が始まる。
シャーマンは頭をかく。溜息を零し頭を振り小さな魔法板を指で突く。
浮かんだ光が五角を描く。シャーマンは風の来たりし彼方を見やる。
ひととき、ふたとき。そして。
「水だ……!」
濃霧が押し寄せ雨になる。
久方ぶりの水の気が村を畑を覆い尽くす。
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