タブレットマギウスシリーズ

森村直也

300字SS

詐欺師達の修羅場(300字SS)

 タブレットをタップする。ミニスケールの日本家屋が滲むように現れた。

 二度目で建屋に色が乗り、使い込まれた艶が出た。

「次の『章』を」

 息飲み見つめる野郎共の目の前で。

 風吹く筈の三度目に、電魔が作ったMANA製の家はあえなく崩れた。


 *


 VRより鮮明に。

 動くことがままならないあなたでも。

 思い出の場所を訪なってみませんか。


 *


 妖精が飛んでいく。宣伝文句の前を過ぎ突いた指を嫌がって。

 MANAが生み出すものは実物だ。VRとは異なって、見て触れるのがウリだった。

「詐欺だろ」

「サービスと言え」

 それが表面だけの再現でも。

「そして、電魔書ライター(俺たち)のお仕事だ」

 見上げる先で妖精は、電波(命令)を逃れ、解けて消えた。


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