第十九話「こうして僕達は自分達の道を歩んでゆく」


 ブラックスカルが倒され、計画の根幹を成すマシンを破壊された事で計画は頓挫し、ヒーロー達や平和を願う人々の尽力により事態は収束していった。


 日本政府は激しいデモやマスコミの責任追及により、多くの政治家が政治生命を絶たれ、自殺者まででた。

 自衛隊、警察も辞職者が相次ぎ、此方も激しい責任追及がなされた。暫くは肩身の狭い思いをする事になるだろう。

   

 学園島も事件の全容を明らかにして公表し、理事長が謝罪する事態となった。

 そして、教職員や生徒、学園の運営に携わる者などの中から問題のある人間を容赦無く処罰した。

 理事会の役員の子供、巳堂 白夜は警備部で事情聴取された後、警察に引き渡され、少年院送りとなった。


 ブラックスカルのメンバーも多くが逮捕、ないし自主する事になった。逃亡を続けているメンバーもいるが逮捕は時間の問題だろう。


 ただし、洗脳されていた人間については法律でどう対処するか検討中である。


 そして精神支配されていたブラックスカルのリーダーはムクロは死亡していた。

 死亡推定時刻は不明だが、少なくとも屋上での戦う前から長い時間が経過していたらしい。

 ずっとブラックスカルの器として黒いスカルメダルに精神支配され、体を酷使され続けたのが主な推測である。


 そして問題のヒーロー達だが、彼達の戦いは終わらない。

 膨大な数のデザイアメダルが未だ町中に残存しているからだ。

 その為、ふとしたキッカケで怪人化し暴れ回るケースなども発生し対処に負われる事になる。

 皮肉にもこれが天照学園のイメージアップや知名度回復、観光客の増加の一因となるのだから世の中分からない者である。



 そして、アーカディアにも変化はあった。


 ブラックスカルとの最終決戦に参加した全員が病院送りになったのは言うまでも無い。


 そして少し経った後、関係者達が集まり、若葉 佐恵の葬儀が行われた。



 とても悲しかった。


 しかし現実を受け容れなければならなかった。


 

 アーカディアは施設も崩壊し、再建の目処は立ってない。


 だが天村財閥は独自にメダルの回収業務を続行するつもりのようである。


 

 天村 志郎は諸事情で暫くヒーロー活動から距離を置くようだが頼めばスーツのメンテナンスなどのサポートはしてくれるらしい。


 そして猛達は一躍学園を救ったヒーローとして人気者になってしまった。


 それを見た姫路 凜は親の権力を使い姫路 凜はヒーロー部を立ち上げ、学業に支障が出ない様に猛達のヒーロー活動をバックアップしてくれる体制を整えるつもりらしい。

 ふざけているようで何だかんだで猛達の事を真面目に考えてくれているようだ。

 

 生徒会長の三日月 夕映は天村 志郎や姫路 凜達と協力して学園の立て直しに奔走している。これから会う機会は少なくなるだろう。

 


 晴天の中。


 天野 猛と城咲 春歌は墓参りに来ていた。


 若葉 佐恵と加島 直人のである。


「僕も佐恵さんには良くして貰ったな・・・・・・だけど何処か辛そうだった・・・・・・出来れば、今の学園島見せたかったね」


「そうですね・・・・・・」


 海を挟んで浮かぶ人工の島、学園島こと天照学園を眺めながら猛は言う。

 傍には春歌がいる。


「ヒーロー部作って貰った手前、何だけど少しヒーロー活動から距離を置こうかなと思うんだ」


「そうですか」


「驚かないんだね」


「ちゃんと考えて決めた事なら何も言いません。それにまたヒーロー活動には復帰するんでしょう?」


「うん。僕はヒーローにならないといけないと思った。だけどブラックスカルとの最終決戦で、満身創痍になった時に見たメッセージを見て不思議と体から力が湧いたんだ。それで気付いたんだ。ヒーローは学園にいたんだ。変身出来なくても人はヒーローになれるんだって。今度はそれを伝えていきたいなって思ったの」


「そう・・・・・・きっと加島君も喜ぶと思います」


「そうかな?」


「そうですよ」


「・・・・・・さて、もどろっか?」


「ええ」


 そうして二人は学園へと戻る。


 これからも何かしらの事件は起こるかも知れない。


 でも不安は無かった。


 この学園にはヒーローが沢山いるのだから。



 ヒーローロード ブラックスカル編・END

       

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