第30話 初歩から始めよう。
ルナリア学園の授業は基本的に週3日である。後は学んだことを実地で試すための自主活動という事になっている。
トリアンとシンノは、その残る4日間の内の2日間をルナトゥーラでの指導に当てることにしていた。直線距離にして約2万キルメルテ。飛行船の定期便か、臨時便を利用するのが普通だ。
ルナリアからルナトゥーラまで、王家の特務連絡艦で、通常艦の5倍近い速さで飛翔してきた飛空艇が離着場のある山岳砦を眼下に見下ろした時、すでにトリアンとシンノの二人は下に来ていた。覗き窓から下を見ていた影衆の一人が我が眼を疑うといった様子で、王女グレイヌとサイリの元に報告を持ってきた。
「化け物ね・・」
グレイヌが呟き、サイリの冷たい視線を向けられた。
「地上の兵に念入りに伝令なさい。あの二人は最敬礼をもって迎えるように。さもないと、我が国が滅ぶと・・良いですね?命令者は、このサイリであることも重ねて伝えなさい」
サイリの冷刃のような眼差しで念を押され、影衆の女が短く返答を返して執務室から駆け出ていった。
すでに何度も念を押して連絡は入れてある。待機の影衆にも伝令は徹底してあったが、念には念をいれておくべきだ。しつこいくらいに念を押しておくべき事案だった。ここで手を抜いたがために、すべてを失うかもしれない非常に大切な局面なのだ。
「聴こう」
サイリは戸口へ視線を向けた。
「はっ・・」
小柄な影衆が扉の陰から進み出た。
「御二方、無事に我が方の出迎え隊と合流。侍女団によって貴賓の間へお連れしております」
「・・よし」
サイリは小さな丸窓を覗いた。もう着陸寸前の高度になっている。
「国王並びに王妃一行も到着なさいました」
「さすがです」
サイリが微笑んだ。
王宮で待っていても不敬にはならないのだが、王が自ら出迎えに来たということは好印象を与えるはずだ。そうした事には
「地上の影衆には、国王、王妃の警護を命じなさい。我々は礼服を着用、王女の騎士として参列します。カイナード法国の魔導師団による襲撃を想定」
「はっ」
短い返答を残して、影衆が後退って消えた。
「王女も着剣を」
「了解よ」
濃緑の乗馬用のズボンに黒い長靴、ズボンと同色の厚地の上着に白い革の長手袋。銀色の額当てのついた帽子をかぶって、腰までの短いマントを羽織っている。弧を描いた双剣を両腰に吊るしている。
「
「うん」
「本来なら魔法に耐性のあるものをご用意したかったのですが・・」
サイリが苦い顔で首を振る。
「うち、貧乏だもん。仕方ないっしょ」
「豊かにする算段はおつきになられました?」
「・・・わぁ、もう着陸だよ」
グレイヌが大袈裟に喜びの声をあげた。
「我が国を豊かにしてくれる殿方を引っ掛けましたか?」
「・・・わぁ・・」
「なぜでしょうね、お嬢様は黙っていればお美しいのに・・どうして、いい男の一匹も釣れないのでしょう」
サイリが嘆息した。
「ささっ、急ごうよ。上客を待たせちゃ怒られちゃよ」
グレイヌがいそいそと執務室から出ていく。後ろを護って歩きながら、サイリは改めてグレイヌ王女の後ろ姿を確認した。
すらりと背丈があり、腰高で足の長い体型である。剣で鍛えているため、衣服越しにも多少は筋肉の張りが見えるが女らしさは損ねていない。真っ赤な燃えるような髪も侍女たちの懸命な努力によって美しく維持されている。顔立ちも王妃譲りで他国の貴族の姫君と比べても十分に目を引くだけの美貌であった。
声を掛けてくるのは、どうしようもない軟派男か、まだ年端も行かない子供ばかり。良家の子息が集まる学園だというのに、男関係はまるっきりの無成果である。逆に、女友達だけはやたらと増やしている。女色の気は無いはずなのだが・・・。
「サイリさん、何だか背中が寒いです」
前を歩くグレイヌが、冷や汗をかきつつ苦情を言う。
「躾の至らなさを悔いていたところです。お気になさらないで下さい」
「うへ・・」
グレイヌが首を竦めた。
特務艦の後尾から降ろされた組み立て式の階段を降りると、騎士服を来た影衆の女たちが8名、左右に分かれて整列していた。全員が、グレイヌと似通った前甲の入った帽子を目深にかぶっている。
「賓客をお待たせしている。駆け足!」
グレイヌが号令して、八分駆けで走る。ぴたりと左右を護って騎士が並走する。
最後尾を駆けながら、サイリが特務艦の乗員に頷いて見せた。すぐさま、特務艦から信号弾が打ち上げられた。
山野に潜んでいる別動の影衆に対する合図である。
正規の騎士が護っている駐機場脇の建屋に到着すると、待ちかねたように扉が開かれて近衛騎士が中へと先導に立った。
「状況は?」
サイリが訊ねる。
「軽食をお持ちし、今はご歓談中であります」
「御二方のご様子は?」
「陛下、王妃様と穏やかに言葉を交わされておいでです」
「そうか。さすがは陛下・・王妃様です」
サイリが小さく安堵の息を吐いた。
「ご要望は何か?」
「話が前後するので、御角様がご到着になってから話をなさると」
「分かりました」
サイリが頷いた。
正面に大きな扉が見えた。王家の紋章が入った分厚い一枚板の扉である。
「グレイヌ王女、御角様ご到着っ!」
先導の近衛騎士が扉越しに声を張る。
すぐに扉が引き開けられた。広々とした部屋の中で、長大な会議机を中心に右に国王と王妃、左にトリアンとシンノが対面に座っている。
「おお、グレイヌ・・御角殿」
国王と王妃が身軽く立ち上がって二人を出迎える。
トリアン達に、国内での位置関係を示すために、わざわざ見せた行為だった。
挨拶もそこそこに、四人を前にして、トリアンは壁際に控える近衛騎士に視線を向けた。即座に反応して、年若い騎士が駆け寄ってくる。
「この場に、人の死体を出すことは不敬に当たるだろうか?」
「いえ、いかなる行為をなさろうとも問題ございません」
「そうか」
トリアンは近衛騎士を戻らせてから立ち上がった。シンノも立ち上がって並ぶ。
「まず明確にしておきたい」
トリアンは居並ぶ四人を順に見た。
「おれ達が依頼された事項は、ルナトゥーラの戦闘員に対する指導ということだった。間違い無いだろうか?」
「その通り、間違いござらん」
国王が言った。
「報酬については、そちらの・・サイリさんが提示した内容で間違いないだろうか?」
「それについても間違いございませぬ」
王妃が穏やかな表情で言った。
「期間については、カイナード法国の侵攻軍が国境を越えるまでという事だったが?」
「我が名において保証致します」
国王が頷いた。
「ここまでは聴かされた話の通りだな。さて・・」
トリアンは、サイリを見つめた。
「おれの立ち位置、カイナード法国との関係については、どの程度把握している?」
「トリアン様の・・いえ、シンノ様の闘技場での件で、カイナードに悪感情を抱いているだろうとは推察しておりましたが・・」
サイリが戸惑いがちに答えた。
「そうか」
少しサイリの双眸を見つめて、トリアンは小さく首肯した。
嘘は言っていない。というより、嘘を言わないと決めているようだった。
「おれは、カイナード法国にとって敵対者だ」
トリアンの言葉に、戸惑いがちな視線が集まる。
「おれを国内に招いた事で、ルナトゥーラはカイナード法国の敵対国となる。そういう認識はあったのだろうか?」
「・・ありませんでした。ただ、我が方・・ルナトゥーラはカイナード法国を敵国と定めております」
「問題無いということか」
「はい」
サイリが頷き、
「あちらから一方的に宣戦布告を申し渡して来ておるのです」
国王が苦々しく笑った。
「そうか・・」
トリアンは机上に視線を落とした。
「師匠?」
シンノがそっと見上げる。
「いや・・闘技場で、シンノに会った後、カイナードの連中を何人か狩った。まだ、向こうには、誰がやったか気づかれていないからな」
トリアンがシンノを見て目元を和らげる。
「もしや・・」
サイリがトリアンを確かめるように見つめた。
「カイナードの大使一行を殺めたのは・・」
「おれだ」
トリアンは頷いた。
「あ、あんただったのかぁっ!?」
それまで黙っていたグレイヌ王女が声をあげた。その後頭部を、ほとんど同時に王妃とサイリの平手打ちが痛打した。
「・・失礼、続けて下さい」
王妃が、ほほ・・と笑いながら王女の口を鷲掴みにして椅子に座らせた。
「死体を出す」
一言断って、トリアンはスイレンに収納させていたカイナード法国の老魔導師を引きずり出した。
「他は、斬ったまま捨て置いた。こいつは別に用があったから持ってきている」
トリアンは老魔道士の死骸を吊るし持って見せた。
「ガリオルド師・・・カイナードの魔人が・・」
放心したように呟いたのはサイリだった。
「こやつが、ガリオルドか!?」
国王が眼を引き剥くようにして老魔道士を睨みつける。
「その・・トリアン様」
サイリが真剣な顔で訊ねた。
「その者は、
「正確には死に難いように、魔法で生み出した臓器や筋肉を本来のものと入れ替えてあっただけだ」
トリアンは事も無げに言うと収納した。
「見せないと信じて貰えないと思って見せたが・・・まあ、気分を害したなら謝罪する」
トリアンは小さく黙礼をして、元の座席に戻った。
「そういう訳で、おれは実質的にカイナード法国の敵対者だ」
「よく理解できました」
サイリがしっかりと頷いた。
「その上で、ルナトゥーラは変わらず依頼をするのか?」
トリアンは居並ぶ面々を見回した。
「是非に、お願いしたい」
国王が机上に両拳をついて頭を下げた。
横で王妃が両手を胸の前で交差させるように肩へ当てて黙礼した。
王女とサイリが拳をついて低頭する。
「シンノ、どうだ?」
トリアンは傍らに座る銀毛の狐娘を見た。
「わたしは師匠と一緒なら、何でも良いですよぉ」
シンノが笑顔を見せる。
「・・そうか」
苦笑気味に頷いて、
「では、今日、この時をもって、トリアンとシンノの両名がルナトゥーラの戦闘指南役を引き受ける」
トリアンは淡々とした声音で告げた。
「感謝致します!」
サイリが声をあげた。
国王と王妃が安堵の顔を見合わせて喜ぶ。
「ついては、さっそく頼んでおいた細工師に会わせて欲しい。順序が逆になるが、時間がかかる細工物の製作を依頼するので、職人との打ち合わせを優先し、それが終わって後、まずはここに居る人間で国防についての会合を、それから独習でやっているという魔法学習を見学、後にシンノの武器製作を依頼・・今日中にこれらを終わらせたい」
トリアンは箇条書きに題目を並べて書いた紙を、国王、王妃、王女、サイリ、そしてシンノの前に置いた。
待つほども無く、近衛騎士の案内で、緊張顔の職人達が3名部屋に通された。いずれも、樽のように横幅のある体型で背は低いが腕が太く逞しい。
トリアンは用意した分厚い糸綴じの設計図面を真ん中に立っている年配の男に手渡した。
「まず、依頼する細工物だが基本の設計は終わっている。ただし、素材の強度、相性で不具合が生じかねないので幾通りか製作をして試運転をしたい」
トリアンに言われて、三人の職人が設計図面を開いた。すぐに低く唸り声を発して、額を付き合わせるように頭を寄せ合って図面を見る。
「他にも製作して貰いたい物はあるが、まずはそれだ」
トリアンの声に、
「質問してもよろしいですかい?」
年長の職人が片手を挙げた。
「どうぞ」
「こりゃぁ、もしかして魔導砲ってやつですかい?」
魔導砲と聴いて、部屋中の視線が集まった。
「そうだ」
「しかし、こりゃぁ、とんでもなく大きい大砲だ。魔導銃って豆鉄砲だって、とんでもねぇくらいに魔力を喰うってのに・・・いや、こいつの製作自体はやれます。綺麗に数値も出して貰って、これで造れねぇなんて職人はうちには居ねぇ・・ただ、こいつを試そうにも、どうやって魔力を集めるってんで?」
職人のもっともな質問に、
「ここにある」
トリアンは銀毛の狐娘の頭に手を置いた。
「へ?」
シンノが見上げた。
「おまえの魔力なら一日で二門いける」
「ふぉぉぉぉ・・わたしの魔力でたったの二門ですかぁ?」
シンノが眼を丸くした。
「三門はいけると思っていたが、おまえが鍛錬を怠けていたおかげで計算が狂った」
トリアンはじろりと見下ろす。
シンノが慌てて眼を逸らし、鳴らない口笛に挑戦する。
「まあ、実際には一度魔力を込めると、半年は変わらない威力が出せる計算だ。ただ、その後は徐々に威力が低下してゆくので、一度発射して新たに魔力を込め直す必要があるだろう。設計上は、4回から5回の発射に耐えるはずだ」
トリアンは職人の眼を見たまま説明した。
「御角様のお達しの意味がようく分かりました。こりゃ、とんでもねぇ御仁をお連れなすった・・・儂らの腕が国を守るために役立つってんだ。とことんまで付き合いまさぁ」
職人達が大きく頷いた。
「さっそくかかってくれ。次週、来た時には試射をしたい」
「ご注文どおり、素材違いで何種類か用意しておきます」
職人達が大急ぎで部屋から出て行った。
トリアンは、やり取りをじっと黙って見ていた国王以下を見回した。
「今のは、カイナードの飛空戦艦を撃ち落とすための魔導砲だ。計算上では2000メルテまで届く。それで、山の高さが気になった」
トリアンはサイリを見た。
「山脈の稜線沿いに設置をするのですね?」
サイリが食い入るようにトリアンを見つめて確認する。一言一句、聞き漏らすまいとする眼差しであった。
「大きさ、重さは職人達に訊いて欲しい。ただ、それをしっかりと設置できる場所が必要になる」
「畏まりました。すぐに調査させます」
サイリが控えていた影衆の女を見た。すぐさま、影衆が部屋から退出してゆく。
「やつらの侵攻ぎりぎりまで、魔導砲を秘匿したい。その方が大打撃を与えられるだろう。可能ならルナトゥーラからカイナードだけでなく他国の人間すべてを退去させたい」
「よく理解できます。全力をあげましょう。なに、我が国は元々交易路からも見放された高地です。他国の者など、ほとんどおりません。居るとすれば、間者の類いですが・・」
国王がサイリを見た。
「すべて所在を把握しております。いつでも排除が可能です」
サイリが頷いた。
「カイナードは、飛空戦艦で上空から侵攻、魔導砲で地上の砦や城を攻撃し、薬と魔法で強化した魔導兵を地上へ降ろして混乱させ、陸上からの別働隊が占領するという流れで攻めて来る。分かりきっていても防ぎきれずに多くの国が敗北した」
トリアンはそれぞれの眼を見ながら、理解が追いついているのを確かめて話を続けた。
「まず、飛空戦艦を落とすことで、戦場は地表に限定される。それも山岳高地だ。それだけでも、ルナトゥーラ人にとっては有利になるだろう」
トリアンの言葉に、国王のみならず、部屋にいる近衛騎士達も大きく頷いている。
「ただ、先ほどの魔導師によると、闘技大会に出場したレイ・メンという男と同等の装備をした魔導兵が千名以上準備できているそうだ」
「・・千っ!?」
サイリが息を呑んだ。
一人なら囲んで斃せる。二人でも囲んで処理できる。だが、千名となると、手練れの集中化が出来ずに戦線を維持できなくなる。
「それで、今のルナトゥーラの魔法の習得状況を見たかった」
トリアンはサイリの顔を見た。
だいぶ顔色が悪い。というより、悲壮感で青ざめて見える。
トリアンは王女、王妃、国王の順に視線を移していったが、いずれも俯いて言葉も無かった。
(これは・・想定外に酷いか?)
嫌な予感しかしない。
トリアンは、部屋に居る近衛騎士達を見回した。
見事なまでに視線を逸らされた。
「魔法に関して、何か明るい情報は無いのか?」
トリアンは溜息をついた。
「あります!」
シンノが元気に手を挙げた。
部屋中の視線がもの凄い勢いで、銀狐人の少女に集まった。
「グレイヌさんは、勉強は不真面目だし、すぐに諦めるし、魔法の詠唱とか絶望的な状態ですけど、魔力の量だけは、わたしが戦ったレイ・メンという人と同じくらいあります」
シンノの言葉に、拳と平手打ちが王女を襲って打ち倒され、次いで国王によって襟首を掴んで吊り下げられるようにして引き起こされた。
「魔力の量か・・レイ・メンというのは、あの程度だったのか?」
トリアンはグレイヌ王女を見た。
「はい。むしろ、少しグレイヌさんの方が多いくらいです」
「ふむ・・それは明るい情報だな」
トリアンはシンノの頭に軽く手を置いて、サイリや王妃、国王、さらには騎士達を見回した。
「ここに居る・・サイリ達はどうだ?」
「はい。グレイヌさんより少し少ないくらいです。でも、学園のほとんどの人達より多いと思います」
「なるほどな・・使い方が分からないだけか」
トリアンは愁眉を開いた。
そういうことなら話は違ってくる。魔力さえあれば、魔法は訓練すれば覚える。
「まずは、魔法を使えるようにすることか。それから、戦闘の中で使える状態に仕上げれば、魔導兵には対処できるな」
「でもさ・・でも、その魔法が駄目なんだよ」
グレイヌ王女が口を開いたが、今度は誰からも殴られなかった。
どうやら総意らしい。
「いろんな先生をよんで、いろんな本を買って、呪文とか魔道具とか色々と試して、でも全然駄目だったんだ。ルナトゥーラ人は魔法が使えないって事で有名になっちゃってさ、この頃はよんでも誰も来てくれないんだ」
「問題無い」
トリアンは一言で片付けた。
隣で、シンノの耳が伏せられ、萎んだ銀毛の尻尾が垂れている。
シンノは知っている。シンノの師匠がこう言っているからには、魔法が使えるようにならなければ、死ぬことすら許されない地獄が待っている。自分が生きているのか死んでいるのか分からなくなって、心の底から安らかな死を望むようになる。深層心理に刻み込まれる怖気をふるう特訓の果てに、トリアンから一言「まあ良いだろう」と言って貰えるまで何度でも何度でも繰り返される。
シンノの異変に、机の対面に座った四名の視線が集まった。
「明日一日で、まずは初歩の魔法が使える状態にする」
トリアンが断言した。
(初歩・・しょほ・・)
シンノの顔がいよいよ暗い。トリアンの言う初歩の魔法は、土、火、風、水、雷の中から最低2種を同時に操って3つの目標物を同時に破壊することだ。
「へへっ、初歩くらいなら軽いよ」
グレイヌ王女が力こぶを作って見せる。
国王と王妃、サイリの視線が王女を見つめ、その視線が物問いたげにシンノに向けられた。
耳を伏せたまま、シンノが伏し目がちに首を振った。その紅瞳から明るさが消え失せて虚ろに足下を見つめていた。
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