第81話 何時だって愛しい




起きた真琴が、声を発して。

小さく響くその声に、どぎまぎした。


それに、あんなに綺麗に笑って。



なんかさ、狡いんだよ。あいつは。

本人にその気は無いくせに、人を惹き込んでは、離さない。


俺だって、その一人。

あいつとヤった奴らも、その一人。



無意識って、無責任だと思う。


あいつは、他人を惹き付けるくせに。

決して、寄り添っては来ないんだ。



だから、何時だって俺は不安で。






何時だって、真琴が愛しい。






「あぁ——ッ!」



むしゃくしゃする。

すっげーする。

めちゃくちゃ、うぜー・・・。


なぁ、真琴。

何で、会えない?

俺、何かした?



目を瞑ると、頭の中にそんな言葉ばかりが、響く。


…もう、考えるのは辞めよう。

切りがない。

さっきから、同じ事を思っているだけだし。

そして、良い方向に向かうとも、思えなかった。



俺は溜息を吐くと、腰を上げて駅へと歩き出す。

けれども、やっぱり落ち着かなくて。





何で、こんなに嫌な予感がするんだろう…?





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