キャロリン達のサマーキャンプ・イン・亜空間 裏切り編


「いや~こんなサマーキャンプだとは思わなかったわ」


「アレナムはアレクスの学園で、サマーキャンプに行ったこと有ったよね?」


「ああ、セイネも行きたいって騒いだ時の事か……あれは……ごめん、思い出したくないわ」


「木っ端共、退くざます!」


「そ、そんなに酷かったんですか?」


「帰ってきたアレナムを見て私は、着いていかなくって良かった。と思った!」


「うへぇ……」


「モンちゃんの前に出るとは、良い度胸ざますわ!」


「この中でサマーキャンプしたこと無いのは、ナタリーちゃんとセイネちゃんだけですかね?」


「キャロ様とレイナ様も行ったことが有るのですか?」


「ナタリーちゃん、私もありますわ。

と言うか高位の貴族や王族は、ほぼ必ず行きますわ」


「風ざます!私は風になってるざます!」


「へぇ~、まぁお金が無いと旅行なんか行けないか」


「いやセイネちゃん、ちょっと違うのよ、王族や高位貴族が行くのは義務なのよ」


「義務ですか?」


「モンちゃんの力は、まだまだこんな物じゃないざますわよ!?」


「うん、貴族として、王族として民を守らないといけない、そして守るための力をつけなければいけない。で、そんな私達のサマーキャンプは魔物の討伐キャンプなのよ……」


「な、なんか辛そうですね……」


「辛いです、本当に辛かったです」


この世界、ユノガンドには魔素が満ちている。

さらに世界樹が有り、そこには龍の産卵場まである、なので魔物や魔獣も多く手強い。


だからこそ王族や貴族は強くあれ。っと言う考えが強く、そのために幼い頃から鍛えられ、討伐訓練も頻繁に行われるのだった。


「ヒャハァ!ざますわ!」


「ってか、煩いわね!」


「ロッテンドライヤー女史かしら?」


「女史しか居ないですわよね……」


「さっきから気になってたんですが、悲鳴とか何かにぶつかる音とかが聞こえるんですけど」


「レイナ様もですか?私も聞こえていたんですけど、他の方が気にしてないので気のせいかと思ってました……」


「誰か見てみてよ?」


「い、嫌ですよ!」


「言い出しっぺのあんたが見ろ!」


「「「そうですよ!」」」


「ううう……女は度胸だ!」


「「「おお!いったあ!?」」」


馬車の御者をキャロリン達は交代でしたのだが、2周したところでロッテンドライヤーが「後は私がやるざますので中で休んでるざます」っと言って、変わってくれたのだ。


ただ、時折ロッテンドライヤーの楽しそうな叫び声が聞こえたり、人間のものではない悲鳴や何かが馬車に当たる音がしていたのだ!


そして言い出しっぺのセイネに押し付けて、確認させようとしたのだが、まさか本当に見るとは思っておらず驚き見つめるのだった。


「………………」


そしてほんの10秒程、頭を外に出して外を見ていたセイネが頭を中に戻した。


「ちょ、ちょっと、どうなってたのよ?」


「……思った以上に酷かったわ」


セイネにそう言われて皆で一斉に顔を出して馬車の外を見る、そして頭を引っ込めると全員が顔を見合わせて、声を揃えたのだった。


「「「見なかった事にしよう!」」」


ロッテンドライヤーが高笑いしながらとんでもないスピードで走る馬車を操り、モンスターを撥ね飛ばす姿を見たキャロリン達は見なかった事にしようと心に誓ったのだった。




「負傷者の回収を急いで!」


「シリカの姉御は大丈夫かな……」


「エルナルナ姉さんの部隊からも負傷者が出ているの!?」


「とにかくシリカ姉様達が戻ってきた時に、素早く助けれる体制を整えておくのですわ!」


防御陣地には再編を終えたサルファとメリルルナ達も合流していた。


そして小一時間ほど前にハギトとオフィエルの救出に向かった、シリカとエルナルナを待っているのだが、オフィエルとハギトの2人はもちろん、シリカとエルナルナも帰ってこないのだ。


だがそうこうしていると、通路の向こう側の戦闘の音が激しくなる。


そして一塊になって竜人族と天使族が走って来た、全員が何処かしらを怪我しており、激戦を潜り抜けてきたのが分かる。


「こっちだ!早くしろ!」


「衛生兵!負傷者の手当てを急いで!」


カーネリアが呼び掛けると、竜人達は嬉しそうに駆け寄って来る、サルファとメリルルナが衛生兵を引き連れて負傷者の手当てを開始する。


他の者達は防壁や何かの入ったコンテナ等で身を隠しながら、防御体制に入る。


そこに殿として、士官や下士官達と一緒にシリカにエルナルナ、オフィエルとハギトが走ってきた、背後からは凄まじい銃撃をしながら、ドライトルーパーが追いかけてくるのが見える。


「……逆撃を加える……撃て!」


「アンジュラ隊と息を合わせるのよ!射撃開始!」


「クロスファイアよ!一兵も逃がすな!」


アンジュラ隊と同時に、マリルルナ隊とチエナルナ隊が射撃を開始する!


「ざまあみろ!防御陣地に飛び込んで……う、嘘だろ!?」


クロスファイアポイントに20人程のドライトルーパーが飛び込んだので、一瞬で終わると思ったカーネリアが立ち上り叫んだが、信じられないものを見て共学の表情になる。


なんとドライトルーパー達は、倒れた仲間の体を盾として使い反撃してきたのだ!


「バカ!」


「シ、シリカの姉ぶ!?」


「皆!撃ちまくるのよ!」


驚きで棒立ちになったカーネリアを、シリカは陣地に駆け込みながら押し倒すと、直ぐに振り向いてブラスターガンを乱射する。


流石にドライトルーパー達も不利と悟ったのか、倒れた仲間などを引きずって下がっていった。


「バカね!戦場で棒立ちになるなんて、何を考えているの!?」


「わ、悪かったって!シリカの姉御!

でも、あいつらがあんな行動に出るなんて、思わなかったんだよ!」


「シリカさん、流石にあれには私達も驚いたわ……」


「エルナルナ姉さん、オフィエル達を追って何があったのよ?」


メルクルナにそう問われて、シリカとエルナルナはため息をつきながら説明を始めたのだった。




オフィエルとハギトを慎重に追って行き、3キロほど歩いた所でオフィエル達を見つけたそうなのだが、200名以上いた部隊は半数程にまで減っていたのだった。


「オフィエル!どうしたの!?

偵察でこんなになるまで戦うなんてあなたらしくないわよ!」


「ハギトも何してるの!?撤退するわよ!」


「「シリカ様!エルナルナ様!」」


「全員、射撃開始!」


「ドライトルーパー達を追い返すのです!」


合流したシリカ隊とエルナルナ隊が凄まじい攻撃を開始する!


……だが次の瞬間!


[チュンチュン!バシン!]


「あぶな!?」


「グゥ!?腕をやられた!」


ドライトルーパー達はより凄まじい反撃を加えて、エルナルナにまて軽傷を与えたのだ!


「な、何こいつら!」


「仲間が倒れても無視して突っ込んでくるわよ!?」


「シリカ様、こいつらは敵の最精鋭みたいなのです!」


「こちらが蛙跳びで後退しようとすると、集中攻撃をしてきて妨害されてしまって……」


「それで全員でユックリと後退してたのね?」


「はい、負傷の酷い者等を下がらせたのですが……」


「重傷者はやむなく……申し訳ありません!」


「仕方ないわ……いいえ良く持ったわね?」


「射撃もだけど連携も上手いわね……確かに一味違うようね?」


オフィエルとハギトはそう言って謝るが、シリカとエルナルナは現状を見て逆に良く半分の損害で済んでいると考えた。


射撃精度に仲間同士の連携も凄いが、仲間が倒れても怯まずに進んでくるその闘志に、2人はこのドライトルーパー達が最精鋭で間違いないと感じたのだ!


「それにエルナルナ様……あ!ちょうど来ました、あれを見てください!」


オフィエルがそう言って指差した先には、別のドライトルーパーの部隊が居た。


今まで相手していたのは、装甲服とヘルメットに青いラインが入っていたが、新たに現れた部隊には金色のラインが入っていた。


そして合流した2つの部隊は巧みに場所を入れ替えると、今まで戦っていた青の部隊は潮が引くように撤退していったのだった。


「ああやって向こうは交互に交代してるんです!」


「こっちには切っ掛けも与えずにです……」


「……仕方ないわ、撤退するわよ!」


「これ以上ここで戦ってたらジリ貧ね。

蛙跳びが理想だけど仕方ないわ、全員でユックリと後退するわよ!」


こうしてシリカ達はなんとか撤退してきたのだそうだ。




「戦った感じだと、奴等の余力はまだまだ有るみたいね」


「オフィエルとハギトの報告だと、精鋭部隊以外にもかなりの大軍が集結してるらしいわ」


「陣地はかなり強化しましたわ。

でも、あの部隊にドライデカも加わるとなると、心もとないですわね……」


「後方の支援体制も強化しなくてはなりませんね」


「あいつらが、それを待ってくれるとは思えないけどね……」


「メルクルナ、嫌なこと言うなよな……」


「でもメルクルナ姉の言うことも正論だわ」


「防御陣地の強化はもう無理か……

ん?アンジェさんどうしたんですか?」


シリカ達とエルナルナ達が今後の事を決めていると、アンジュラだけがその輪に加わらずにドライトルーパーの去った方をジッと見ていた。


それに気がついたチエナルナが声をかけるが、アンジュラは返事もせずに通路の奥をジッと見つめて、ポツリと呟いた……


「……何か来る……敵……敵が来る!」


アンジュラが叫ぶように言う、勘が鋭いアンジュラの声に反応して、全員が一斉に迎撃体制に入る。


そして通路からシールドを展開したドライデカを先頭に、最精鋭のドライトルーパー達が隊列を成してやって来た。


だが、アンジュラが指を指しながら「……敵だ……敵だ!」っと言って最も警戒したのは……ドライデカと共に先頭を歩き、漆黒のローブを着てうつむきフードを深く被った者だった。


その者はドライデカとドライトルーパー達が止まった後も数歩進み出て前に出ると、頭を上げてシリカ達を見る。


そして次にエルナルナ達を見ると、メルクルナの所で一瞬止まり全員を見回した後、深く被り隠していた顔をさらけ出したのだった。


そして、漆黒のローブの正体は……!




「……ユノガンド様だ!

ユノガンド様ぁ!こっちですよこっち!早く逃げて来て下さいって!」




メルクルナが叫んだ通り、ユノガンドだった。


メルクルナが早くこっちに来て!っと呼ぶが、その声にユノガンドは反応を示さない。


変な反応のユノガンドに、メルクルナもおかしいと呼ぶのを止めると、ユノガンドは口を開き怒声を発したのだった!


「何がこっちに来いじゃ!?

わらわを見捨てて逃げたくせに、今さらどの面を下げて言うのじゃメルクルナよ!」


「見捨てて逃げた?

な、何を言ってるんですかユノガンド様!?

私がユノガンド様を見捨てるなんて有り得ません!」


「黙れ!エルナルナ達を使って上手く逃げようとしていたが見つかってしまい、敵が多いのでやっぱりエルナルナ達と合流しようとしたあの時、お主はなんと言った!?

合流しようと言ったではないか!

なのに陣地に入らず逃げ出した……わらわを置いてじゃ!」


ユノガンドの言葉にシリカ達は白い目でユノガンドとメルクルナを見るが、メルクルナは言い返した。


「い、いえ、だから合流して逃げようと言う意味だったんですけど……

逃げるのに必死でユノガンド様が何時の間にか居なくなってのは気にはなってたんですけど……まさか、陣地に飛び込んだのですか?」


メルクルナにそう言われてユノガンドは固まる。


「そんなに敵が多かったの?」


「100体のドライデカと1000体のロボットに追われてたわ」


「それで武器とか無かったんでしょ?なんで陣地に籠ろうとしたのよ?」


「知りませんよ!当事者のユノガンド様に聞いてみましょう?」


シリカとエルナルナはそう言ってユノガンドを見る。


「でも、残って戦おうとしたのでしょう?勇敢ですわ!」


「いえ、撤退するって結構大きな声で話してたんですけど……?」


今度はサルファとメリルルナに見られる。


「もしかして、ちゃんと聞いてなかったんじゃないか?」


「あー、有り得るかも、ってかユノガンド様はもしかして私達に敵を押し付けて、自分だけ逃げる算段を考えてて聞いてなかったんじゃ……?」


「!!」


カーネリアとメルクルナにそう言われて見られると、ユノガンドがビックリ!っと反応する。


「……あの反応は……ギルティ」


「ユノガンド様……メルクルナを責めてましたけど、ユノガンド様が悪いんじゃないですか……」


「……本気で禿げてみます?」


「……ううう!」


アンジュラとマリルルナにチエナルナにまでそう言われると、ユノガンドは真っ赤になってうつむく。




「ううう、うるさいのじゃ!こうなったらわらわの力をみせるのじゃ!

そして膝まずかせるのじゃ!」


「「「暴力に訴えるなんて最低です!」」」


「黙れ!これを見るのじゃ、皆を裏切り、ドライト側についたことで得たこの力を……!」


ユノガンドはそう言うと30センチ程の棒を取り出し、スイッチを押すと、光輝く棒状の物が出てきた!


「これぞ、ライトセー[ドカ!]痛いのじゃ!何を……ああ、そうじゃったライトソードじゃ!

このライトソードの力を見るのじゃ!」


ユノガンドが光輝く剣の名を叫ぼうとして、ドライトルーパーの投げたブラスターガンを頭に受けて言い直した。


「なんかどっかで見たような……」


「うむ、ドライトがライトセ◯バーをパクって作ったものじゃ、性能とかは良く解らんのじゃ!」


「こ、こいつ言っちゃいけない事を……!」


「ふん!そんな事よりライトソードの力を見よ!」


ユノガンドはライトソードを構えて突進してくる!


「………………」


[チュンチュン!]


「ぬるいわい!」


[バシバシン!]


「……!?」


アンジュラの放った弾は、ユノガンドによって弾き返される。

それを見たシリカ驚愕して叫ぶ!


「な!?何かの力に目覚めたの!?」


「いや、反射神経と感じゃ、と言うかこんなに遅いのなら、お主らも弾き返せるじゃろ?

とりゃー!」


普通に返されてシリカは白けていると、その隙をついてユノガンドはシリカ達の陣地に飛び込む!


そして!


「さあ!ライトソードはまだまだ有るのじゃ!

これを使って反撃に移るのじゃ!」


そう言って懐からライトソードをゴロゴロ取り出す。


「ユノガンド様、裏切ってドライトルーパー側についたんじゃ……」


「何を言うか!わらわはまだドライトの秘密や財宝を諦めとらんのじゃ!

裏切ったフリをして、あのアホどもを騙したのじゃ!」


ユノガンドが突然ライトソードをシリカ達やエルナルナ達に渡し始めたのを見て、ドライトルーパー達は突撃を開始しようとした体制で固まっている。


まぁ、ユノガンドのあまりの行動に天使族に竜人族も固まってしまい、戦闘は始まっていないのだが……


そこに2人のドライトルーパーらしき者がやって来た。


他のドライトルーパーとは違い、フルフェイスのヘルメットではなく、顔が見えるタイプのヘルメットを被り。


白いラインの入った黒い装甲服を身に着けて、胸には階級章を着けていた。


そして2人は部下達を怒鳴り付ける!


「落ち着きなさい!あなた達は最精鋭なのよ!」


「こうなる事は予想されてたの~だから見て~?」


そう言って片方の指揮官が指差す。


「な、なんじゃと!?予想していた?嘘をつくでないわ!

それにわらわが、ガメて来たライトソードに、何があると言うのじゃ!?」


そう言って手元のライトソードに視線を送ると、ライトソードの片方には導火線が着いていて、バチバチと火花をあげていたのだった!




[ちゅどん!]




「ユ、ユノガンド様が吹き飛んだわ!?」


「ハ、ハマリエルにフル!このお祭り騒ぎに姿が見えないから、おかしいと思っていたらドライト側についていたのね!?」


そう、ドライトルーパーの指揮官の2人は……天使族のハマリエルと竜人族のフルだったのだ!


「ドライト様の亜空間庫に入り込む愚か者め!」


「ここは~私達グルメ帝国軍が~相手だぁ~!」


「グルメ……“帝国”?同盟じゃなかったけ?」


「同盟議会は、ドライト様が永遠に解散させた!」


「そして~帝国議会を発足させた~!」


「……その同盟議会と帝国議会には、どう違いがあるのですか?」


「特にない!」


「呼び方変えただけかよ!」


「でも~帝国の方がぁ~格好いい~!」


「……確かに……格好いい!」


などと話していると、ユノガンドが復活してやって来た。


「おのれ!ハマリエルにフル!原始の神たるわらわを裏切るか!?」


「いや、裏切るも何も、元々使えてませんし……」


「私達を創造してくれたのわ~ドライト様ですし~……」


「……そう言えばそうじゃった!」


「と言うか、ユノガンド様は死んだんじゃ?」


「ですよね?盛大に吹き飛びましたし」


「怪我もしてないんですか?」


「無駄に頑丈だからなぁ……」


「死ぬ代わりに禿げたのかも!」


「死んどらんし、禿げとらんわ!?

しかし、お主らも良い度胸じゃのう?わらわに加えてエルナルナ達にシリカ達、そしてお主ら以外の天使族に竜人族は全てこちら側じゃぞ?」


ユノガンドがそう言いながら指を鳴らすと、エルナルナ達とシリカ達がライトソードを手にしてハマリエルとフルを包囲する。


ドライトルーパーとドライデカが対抗して動こうとするが、それをハマリエルが手で制してニヤリと笑いユノガンドに言うのだった。


「私達だけ?

なんでそう思うんですか?」


「私達わ~近衛ドライトルーパー隊の~副官ですよ~?」


2人がそう言うと、ドライトルーパーの隊列が割れ、漆黒のローブを着た2人の人物が進み出たのだった!




「着いたざますわ、ここが今日の宿ざます!

安宿ざますが、我慢するざますわ」


ロッテンドライヤーがそう言って馬車を止める、そして中で話していたキャロリン達が降りて、今日の宿を見て固まるのだった。


「……へ?な、なんですかここ!?」


「……宮殿ですよね、これ?」


「すっご……宿かこれ?」


「超高級ホテルとかじゃないの?」


「ウアスの魔道宮よりも豪華ですわね?」


「いや、帝国の宮殿もこんなに豪華じゃないですよ?」


「まったく、キャロさん達が泊まるのに、こんな安宿しか用意が出来なかったとは……ロッテンドライヤーの名が泣いてしまうざます!」


ロッテンドライヤーはプリプリ怒りながら、フロントに向かって歩く、そこにキャロリン達も追い付き質問する。


「あ、あの?ここで安宿なんですか?」


「ロッテンドライヤー女史が用意しようとした宿っていったい……」


「原始の神や龍神専用の宿ざます、離れ風の良い宿なんざますが埋まってたざますのよ……

誰かを追い出そうとしたざますが、誰が出るかで争いになって未だに決まってないざますわ」


「じゃあ、ここは……?」


「最低でも上級神じゃないとダメな宿ざます、ん?どうしたざますか?

視線とかが気になるなら、全員叩き出すざますわよ?」


「「「勘弁してください!」」」


キャロリン達は頼み込み、なんとか下級神が泊まるクラスの宿にしてもらったのだった。




「下級神共!ドライト様の筆頭眷属神(予定)に次席眷属神(予定)ざますわよ!?

何をじろじろ見てるざますか!?この扇子でボコボコにするざますわよ!?

そっちの子達は奥方様方の筆頭眷属神(予定)ざます!

ナンパなんかしようものなら消滅させるざますわ!」


「「「ロッテンドライヤー女史!押さえて下さい!」」」


キャロリン達のロッテンドライヤー女史なら落ち着いてサマーキャンプを楽しめるという気持ちは裏切られ、なんとか宥め豪華ホテルにチェックインするのだった!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る