入学と卒業パーティ 買い物
おのれ!余の索敵から逃げ通すとはかなりの技前の者だな!?
【伊賀か甲賀、もしくは風魔の手の者かもしれませんね?】
うぬぬぬ!あ奴等、見つけたらドライト忍法、目からビームを食らわしてやるわ!
【それ忍法で出るんですか?】
こうな?目に集中すると出る「あちいぃぃぃ!?」あ……
【確かに出ましたね、そしてメルクルナ様のお尻に命中しましたね】
なんだってあんな所に居たんだよ……
【めちゃくちゃ狙ってませんでしたか?】
そんな事はない!あ、キャロ達も起きてきたぞ!
「買い物に行くぞ!皆の者、我に続くのじゃ!」
「待てやこらあぁぁ!」
リビングで待っていたドライトの元にシリカ達にキャロリン達がやって来た、学園都市の門まで一緒に行こうとドライト一家のドライトが待ちかねたように出発!っと声をかけたがメルクルナが止めに入った。
「なんじゃメルクルナ殿、わしになに用か?」
「尻にビーム撃ち込んどいてなに用か?じゃないわよ!
それにその喋り方を止めろ!ユノガンド様に被ってるのよ!」
「な!?何を言っとるか!この無礼者めが、わしをドライトの守と知っての狼藉か!?被ってなぞおらぬわ!」
ドライトはそう言うと周りの皆の顔を見回して視線で訴えるが、エルナルナ達やキャロリン達だけでなくセレナとディアンにも目を反らされる。
「な!?そ、そんな……!
レムリア祖母ちゃんヌーマ祖母ちゃん!ユノガンド様の親友の2人なら違うと言ってくれますよね?似てなんか、被ってなんかいませんよね!?」
だがレムリアとヌーマは哀しそうに目を反らす、ドライトはショックを受けてヨロヨロとガンジスとモリオンの方を向くが、ガンジスとモリオンにも目を反らされてしまう。
「そ、そんな……!
何時からですか?何時から被ってるとおもってたんですか!?」
ドライトはそう言ってセレナにすがりつく、セレナはたまらずに答えてしまった。
「ドライト……最初から被ってると思ってました……!」
「そんな!?
なんでですか!なんでもっと早く言ってくれないのですか!
汚点です……私の人生の汚点ですよ!」
ドライトはそう言うと飛ぶのを止めて床に墜ちる、そして尻尾を自分の手足で抱えるようにしてから体を羽で覆うようにして丸くなってしまう。
「ドライト!私達も止めよう、止めようと思っていたのよ?
でもあなたが楽しそうにしてたから止められないで「嘘です!」ドライト!?」
「皆でバカにしてたんですね!
酷いですよ、これから私は銀龍ドライトではなくユノガンド様に被ってたドライトと呼ばれるのです!
それを皆でバカにして笑い者にするために黙ってたのですね!?」
ドライトはそう叫ぶと泣き始めてしまう、セレナ達はオロオロとしてなにも言えないで居ると――
「ちょっと待つのじゃ!
なんじゃこれは!?ドライトが酷い目にあっとるようで、わらわの精神が酷い目にあっとらんか!?」
「ユノガンド様!ここは私にお任せください!」
「おお!メルクルナよ言うてやれ、言ってやるのじゃ!」
「ドライトさん、お尻に変なビームを撃ち込んだ事は赦してあげるわ……ユノガンド様に被ってたドライトさん、なんて面白い称号に免じて!」
「ガアァァァ~!?」
「メルクルナ~!?」
このメルクルナの発言でドライトとユノガンドの心のHPは0になり寝込んでしまったのだった。
「よく考えたら、称号なんて別にどうでも良かったです。
さぁ!買い物に行きましょう!」
「タ、タフねドライトさん……」
「メルクルナあなたねぇ、あなたの一言でユノガンド様が寝込んだんだから、少しは気にしてあげなさいよ……」
そう、ドライトは3秒で復活したがユノガンドはいまだに寝込んだままだったのだ!
そしてそれを非難するエルナルナにメルクルナが言い返す。
「エルナルナ姉、だったら残って看病してあげれば良いじゃん?」
「嫌よ、せっかくのお買い物にユノガンド様を連れていったら子守りで1日が終わっちゃうじゃない、このチャンスを逃がす手は無いわよ」
「エルナルナ姉さん酷いですよ……」
「じゃあ、メリルルナが残る?」
「絶対嫌です、そうだ!マリルルナかチエナルナを残しましょう!」
「なんで私が!?」
「禿げまくれ!」
ユノガンドの看病のために誰が残るかでメルクルナ達は揉めている。
「なんじゃ?誰か病人でも出たのかの?」
「さあ?何にしろ早く行きましょう」
「そうじゃの早くしょっぴんぐを楽しむのじゃ!」
そう言ってドライトとユノガンドは4神とメルクルナを残して歩き出す、キャロリン達はどうすれば良いのか分からないでオロオロしていたがドライト達が歩き出したので仕方なくついていくのだった。
学園都市の門の近くまで来ると朝早いにも関わらず、すでにそこそこ並んでいた、ドライト達は行列の最後尾に並ぶ。
「じゃあ、門を潜ったら別行動で「待って~!」おや?」
「はぁはぁ……私達を置いて行くなぁ!」
「ユノガンド様!何時の間に復活したんですか!」
「は?わらわがどうかしたのかの?」
「寝込んでたんじゃ……」
「何を言っとるかの?わらわはこの通り元気いっぱいじゃ!」
ユノガンドがそう言うとエルナルナ達は何が何だか分からずに、ポカーンとしている。
「皆さん、訳の分からない事を言ってないで聞いてください」
ドライトがそう言ってパンパンと手を叩いて注目させる、エルナルナ達も仕方なく聞く体制になった。
「門を潜ったら別行動になります。
私達ドライト一家はステラとルチルの入園の品を買いに行きます」
「「たのしみ~!」」
ステラとルチルは人化して、やはり人化しているセレナとディアンに抱かれながらはしゃいでいる。
「キャロリン達は学園の通学用品などに、ユノガンド様達は食い倒れがメインでしたね?」
ドライトがそう言うと、キャロリン達にユノガンド達が頷きながら何処に行こうかと楽しそうに話している。
「それじゃあ皆さんこれを」
ドライトそう言って可愛い装飾のされた小さな袋を渡していく、ステラとルチルにも渡すと2人は早速に開けて中を確認する。
「「おかねだ~!」」
出てきたのは金貨や銀貨等だった。
「全部で10金貨入ってます、そのお金でお買い物してください。
今回は社会勉強も兼ねてその範囲内で我慢してくださいね?」
そう言うとキャロリン達にステラとルチルも「はい」っと返事をするがメルクルナは袋を覗きこんで「あれ?」っと不思議そうにしていた。
「ドライトさん、私の袋は金貨5枚しか入ってない気がするんだけど?」
するとエルナルナ達も「私達もだわ」っと言ってきた。
「ああ、それならユノガンド様があの子達には多すぎるから私が半分預かっとくと言うので渡しておきましたよ」
「「「へ?」」」
エルナルナ達は慌ててユノガンドを見るがすでに門に向かって逃走していた。
「ま、待てぇー!」
「ユノガンド様!お待ちない!」
「あの野郎、半分も持ち逃げしやがった!」
「取っ捕まえて有り金を全部巻き上げるのよ!」
「髪の毛をむしって禿げにしてやる!」
こうしてエルナルナ達も門の方に向かったのだった。
「ドライト、朝食を出店で済ませるんじやなかったの?
あいつらに食い尽くされるわよ?」
1日経って回復したシリカが聞いてくる。
「あっちこっちに出店が出てますし、たぶん門の中には入れてないと思いますから大丈夫ですよ」
ドライトはそう言うがシリカはあいつらの食い意地なら門を突破したんじゃないかと思いながら門の前まで来ると騒がしく何かあったようだ。
アレナムがヒョイっと覗いてみるとユノガンドとメルクルナに4神達が目隠しをされ処刑台に縛りつけられていた。
「ユ、ユノガンド様!メルクルナ様!」
「お?アレナムどうした?ブフ!?」
カーネリアも覗きこみその光景を見て盛大に吹き出している。
「見、見事に捕まってるわね」
「学園都市の門衛は優秀なのですわね?
あの方達を捕まえるなんて……」
そう言いながら門の前に来ると門と門衛が見えたのだが……
「よし、次!身分証を見せろ!」
「どうぞ……」
「よ……アンジェ姉さん身分がドライトの嫁ってなってますよ!?」
なんとドライト軍団が門衛をしていた。
「な、なんでドライト軍団が門衛をしているのよ……」
「アルバイトです。
おや?何か始まるようですね?」
ドライトが処刑台を指差すと、ドライト大将が処刑台に上がってきた。
「皆の者、静粛に!
この者達は愚かにも門破りをしようとした!
これから裁判を行い罰を決する、裁判官は前に!」
その言葉にドライトがパタパタと飛んで処刑台に立った。
「裁判を始めます!
判決、死刑!
裁判を終わります!」
「な!?ま、待つのじゃ!再審を要求するのじゃ!」
「ちょ!?いくらなんでも死刑はないでしょ!」
「神罰を落とされたくなかったら、解放しなさい!」
「裁判が3秒ってどう言うことよ!?」
「は、放せ、私達を解放しなさい!
さもないと酷い目に遭わせるわよ!」
「他の人は禿げにして良いからメルクルナ姉様と私は解放しなさい!」
死刑と聞いてユノガンド達は大騒ぎするだがーー
「ええぃ、黙れ!処刑を開始しろ!」
ドライト大将がそう叫ぶとワラワラとドライト軍団が表れた、手に手に羽ホウキを持って!
「な、なんじゃ……プフゥ!
く、くすぐるでない!止めるのじゃ!」
「あはははは!や、止めて!くすぐったい!」
「いやぁ~!く、苦しい!くすぐるの止めて!ぷははは!」
「て、的確に攻めるな!あひゃひゃひゃひゃ!」
「屈辱よ!く、くはははは!」
「……なんで私だけ放置!?」
ドライトはその様子を腹を抱えて笑いながら見ていたがキャロリンとアレナムとレイナに赦してあげてくださいと懇願されて、シブシブ解放するのだった。
解放されたユノガンド達と共に門衛に身分証を見せて門を潜り抜けて、学園都市に入り広場の出店で朝食を食べながら今後の話をする。
「ひ、酷い目にあったのじゃ……」
「門を突破しようとするからですよ?」
「一瞬で捕まって目隠しされたけど何があったのよ?」
「許可なく門をくぐると罠が発動するようになってるのです!」
「どんな罠なのか教え……てくれるわけないわよね」
「当たり前ですよ……さて、ここからは別行動なのですがキャロ、覚えてますか?」
「……何がですか?」
キャロリンは可愛らしく小首を傾げて思い出そうとしている。
「お店ですよ、お店」
「あ、はい!最初に向かうように言われているお店ですよね?」
「ええ、そこだけはちゃんと行ってくださいね?」
ドライトは真剣な顔をして念入りに行くように言うと、「じゃあ、別行動しましょう」っと言ってディアンに抱っこされて去っていった。
「セイネちゃん地図で確認してくれる?」
「OK……お?なんか凄い近いわ」
「へぇ?何分位で行けるの?」
「いや、そこに有るわ……」
「「「へ?」」」
セイネが指差した先には古くて汚い建物があった。
「あ、あれ?」
「うん、間違いないよ」
「古くて汚いですわね……行くの止めません?」
「で、でもドライト様が必ず行くようにって……」
「キャロ様、とりあえず行ってみましょう」
「そうね、ここで何時までも待ってても意味ないしね」
アレナムがそう締めると皆で建物に向かう。
だが出入り口らしい傾いたドアを開けようとする者は居なかった。
「キャロ、ナタリー、あなた達に祝福を授けたドライト様の命令なのだからあなた達が開けなさいよ」
「ええ~……仕方ない開けるわ」
「キャロ様、お待ちください」
キャロリンは代わりに開けてくれるのかと期待した目でナタリーを見ると、ナタリーは装備を出して身に付け始める、それを見たキャロリン達も身に付け始めた。
こうして完全武装になるとキャロリンがドアノブを握りしめ、その横にナタリーが盾を構えて並び、逆側にはレイナが剣を構えて立つ、セイネが少し後方でリティアとアレナムを守る様に立つと全員が頷きあい、キャロリンが思い切ってドアを開けるのだった。
そして店の中を見てキャロリン達はドアを閉めてUターンして帰ろうとしたが次の瞬間!
なんと店の中のカウンターの前に居たのだった!
「え!?」
「た、短距離転移だわ!」
「じゃあ、さっきのは見間違いじゃないんですわね……」
キャロリン達は驚き戸惑っているとカウンターの中から声がかけられる。
「五月蠅いお嬢ちゃん達じゃのう?
まぁ、その装備からして何処ぞお貴族様か?わしはドワーフのドライト、ここは武器と防具にアクセサリーの店じゃ適当に見ていくが良い」
そう言ってきたのは1m20cm程の身長で手足は短く長い髭を着けたドライトだった、よーするにただ単に髭をつけただけのドライトが自分の事をドワーフだと言い張っているだけだったのだ!
「ドライト様、せめて人化か幻術で見た目を変えてください……龍の姿のままじゃないですか!」
「気分ですよ、気分!
まぁ何にしろ見ていってください、お小遣いの範囲で良い物を選ぶのですよ?」
「ドライト様、私達にはドライト様やリア様に頂いた神器があります、それなのにわざわざ新しい装備を、お小遣いで買わないといけないのですか?」
アレナムがそう言うとドライトは全員を見回す、アレナム以外もなんでこんな事を……と考えているようで不満そうな顔をしているのを見て、ドライトは目を細めてキャロリン達に言った。
「ふふふ……私は選びなさいと言ったのですよ?誰が1番目利きなのか……シリカ姉達も気にすると思いますよ?」
そう言ってドライトがチラッと横を見るとそこには優雅にお茶を飲んでいるドライト一家にシリカ達が居たのだった、セレナとディアンは困ったような顔をしているが止める気は無いようだ、シリカ達は期待した目でセイネ達を見ている。
「キャロ、これは学園に通うだけでなく今後の事も考えての試練です、あなた達は学園を卒業したら冒険者になりPTを組んで旅をしたいのでしょう?
私達もついて行きますがその時はなるべく自力で頑張ってもらいます、装備やアイテムの目利きが出来ないと冒険者としては2流ですからね……今から鍛えるのです!」
キャロリン達はなんでその事を!?っと驚いていたが、これはドライトの試練だと気がつきそれぞれが店内に散って行くのであった。
「キャロちゃん、レイナちゃん、こっちに刀剣類が有るから一緒に見よ!」
「槍は奥の方ですか?じゃあ、先にショートソードから見ますか」
「流石はドライト様だわ、良い物が混じってるわ……じっくり見ていたら遊ぶ時間無くなっちゃいそうですね……」
「奥の方の防具も遠目でも良い物があるのが見えますね……あら?このショートソード使いやすそうですよ?予備に「待った!」え!?」
ナタリーが棚に無造作に置かれたショートソードを手に取ろうとしたらセイネが止めに入った、そしてジッとショートソードを見ていたかと思うと――
「リティアちゃん!ちょっとこっち来て!」
アレナムと一緒に杖を見ていたリティアを呼びだした、呼ばれたリティアは何事かとアレナムと一緒にセイネの側に来る。
「セイネ、どったのよ?」
「何か面白い物がありましたか?」
「リティアちゃん、そのショートソードを鑑定してみて?アレナム、絶対触っちゃダメだからね!」
セイネがそう言うとリティアは驚きながらも鑑定を始める。
アレナムやキャロリン達は何事かとリティアとセイネを見比べていると、リティアが鑑定結果を言い始める。
「ええっと、禿鷹のショートソード?特殊効果が付いてますわね……攻撃した相手を一定の確率で禿げさせる、確率は99%。
ただし相手を禿げさせると同時に自分も禿げる呪い有り、1度持つと誰かを攻撃しない限り手から離れない呪縛有り!?」
「な、なにこれ!」
「なんかやばい雰囲気したのよ!」
「ド、ドライト様!呪われたショートソードが置いてあります!」
どうやらショートソードは呪いのショートソードだったようだ、ナタリーが慌ててドライトを呼ぶとドライトはパタパタと飛んできてショートソードを棚から取り出してポリポリと食べてしまった!
「セイネ、流石ですね、よく気がつきましたよ!ご褒美に撫でてあげます。
皆さん、まだまだ呪われた装備はありますから気おつけてくださいね?」
呪われた武器を食べてしまったドライトを呆然と見ていたキャロリン達だがドライトの言葉で思い出す。
これは試練だと言う事を、龍達――ドライトやシリカ達が側に居ない時の事を考えての事だと、キャロリン達は真剣な目になると店内の装備や小物などを注意深く見始めるのだった!
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