僕と魔女と猫

@hiroyan50

第1話姿の無い依頼人

世の中には長い年月受け継がれている家業と言うものがある

造り酒屋だとか畳屋さんとか色々な家業が代々受け継がれてゆく

我が家も、そういう代々続く商売を営んでいる

しかし、我が家の家業は、少し変わっている

しかも、長男の僕には、その仕事を受け継ぐ資格がない

…へっ?何かやらかしたからって?⁉

違いますよ

男にはその力が受け継がれないからです

…その力って何かって

まっ!それは、おいおいはなしていくとして

そろそろ、予約のお客様がいらっしゃる時間なので

また後程


ビロローン

間延びしたインターホンの音に蒼生が応対した

「予約した山科ですが」少し高めの若い女性の声に蒼生は笑顔でドアを開けた

制服姿の黒いかみの前髪ぱっつんのの女の子が蒼生の目をくるくるとした大きな目で見つめて立っていた

ゲッ!子ども、これは不味いわ、また、お金払ってもらえない

困ったなと思ったが

祖母が受けた予約は絶対という暗黙の了解があったので、しかたなく

事務所の中のブルーのベルベットのソファーに通した

「しばらくお待ち下さい、只今占いの先生を呼んで参りますので」と伝え

奥の居間へと向かった

居間のドアをゆっくりと締め

一呼吸置いてから蒼生は

「藍さん、いつも言ってるだろ

うちは、商売で占い屋やってるから

お金もらえ無さそうな人はだめだって

まして、子どもは、後で面倒なことになったら不味いからだめだって」と一気に捲し立てた

藍は、碧と二人で何やら相談していて

こちらの話など何も聞いていない様子だった

ヤレヤレ無視かよ

藍さんは70才になった今も黒髪艶々、ピンクと赤の服に身をつつんだ蒼生、つまり僕だね

の祖母にしてこの占い館の長である

そして一緒に居るのは、僕の妹で占い師の碧である

この館では、僕たちの母親の紫と碧の双子の妹の紅も占い師を務めている

家族の住まいは、この館の裏にあって

そこで藍の旦那さんの幸じーと紫の旦那さんのやっさんと猫四ひきと暮らしている

えっ!なぜ祖父と父じゃ無いかって

そちらも後程 お話しするとして

まずは、お仕事です


碧と共に客間に戻ると山科と言う女の子は

通された時のままの姿でうつむいたまま座っていた

僕の出した暖かい紅茶の湯気を挟みながら碧は女の子の回りを右目だけで見つめていた

そんな碧の事など気にも止めず

「今回は貴方ではなく、貴方のお姉さんのご依頼ですね」と質問すると

僕の言葉に女の子は、自分が何も話していないのに姉の依頼だと言われて驚いたようでキョトンと僕をを見つめた

「で、本日はお姉さんもご一緒に来てらっしゃるんですよね」

「いえ、姉は来れないんです、だって…」そう言うと女の子は涙目になって、うつ向いてしまった

「いえ、ご一緒に来てらっしゃると妹がいっておりますので、多分ご一緒だと」

うるうるした目で碧を不振そうに見る女の子

何だか今にも怒鳴って来そうなので

碧は今、自分が見えているものについて話し出した 「貴方の横に、色白の目元が貴方そっくりの綺麗な二十代前半って所の女性がいらっしゃるのが私には見えます」

そう告げたが

彼女は余計に不振そうになったので

「髪は貴方より少し明るい感じで、ロングヘアーのストレート、グレーのモヘアのセーターに、濃いグレーのロングスカートをはいてらっしゃいます」と付け足した

話が終わる前からキョロキョロと回りを見回し必死に姉を探して居るように見えた

「君にも見えないんだね、普通の人でもたまに見える人は居るんだそうだけど、僕にも見えないんだ」僕の言葉を聞いても

まだ探して居るようなので

確かに、そこにお姉さんは居るのだけれど普通では見えないということ

自分は姿は見えても、話すことは出来ないと言うこと

話すことも出来る力を持った人が世の中にはには居るので、そう言う人を探すことも出来ると言うことを優しくて碧は話した

しかし、少女は、姉が夢で、ここに来て頼めと言ったのでここ以外には、依頼しないと強く言うので

早速、仕事に取り掛かることにした


お気付きだと思いますが、我が家は先祖代々

それはそれは、永きに渡り占いを生業にしている

つまり、家業は占い師ってやつです

占いで家族みなが、ご食べて行けるなんて

インチキとか、悪徳商法とかお思いかも知れませんが

占いが当たれば、お客様はいらっしゃいます、その中には大変お金を沢山お持ちの方とか地位の有る方もいらっしゃったりして

家族7人と四ひき食べるのに困ることは、ないのです

それにね、結婚を何歳でするとか、子どもの名前は、何がいいかとか

もちろん、そういったことも承りますが

我が家は、行方不明の人とか動物とか、無くした物など色々な、失せ物の在処を探すことを、メインの占いをしているんですよ

しかーも

探し物は、かなり高い確率で見つかります

あなたも探したい物って有るでしょ

それが、見つかれば心が少し軽くなったりするものとかも中にはあるでしょ

そう言う気持ちをお持ちのお客様が沢山いらっしゃるんです

我が家の女たちは、僕らには無い力を駆使し、探し物を見つけ出します

あっ霊感とかって思いましたか?

まっそう言う言い方を今はしますが、何せ千年以上前から受け継がれて来たものなので

僕らの回りでは、魔法って呼ばれてます

つまり我が家の女たちは、魔女と言うわけです

魔女って馬鹿馬鹿しいって思うでしょ⁉何か抵抗もあるでしょうし、魔女狩りなんてのもね大昔にあったそうだし、かといって超能力者とかって言い出すと騒ぎになるし叩かれるしね、だから占いとして営んで居るんです

魔法や魔女について、まだまだお話しておきたいことが沢山有るのですが

その前にお客様の探し物をお話を聞くことにしましょう


少女の名前は山科七海16才で近くの高校の一年生

碧にだけ見えている少女の姉は山科七緒さん享年23才で、三ヶ月前に事故で命を落としたとのこと

依頼人は仲のいい姉妹だったので七海は姉の事故死以来泣いてばかりいたが

先月、七海が姉のベットで寝ていると夢に姉が現れた、姉は七海を優しく抱きしめしめ「私が居なくなって寂しいだろうが、もう泣くのはやめにして、私の分も明るく楽しく生きて欲しいの」と七海の頭を撫で

そして、「七海に渡しておかなくてはならないものがあったのだが事故の時に失してしまっの

それは、七海に、とても必要なもので大切なものなので探してほしい

探す手段として、学校の近くにあるロイヤルブールの屋根の(ル .スヴーニア)と言う占いの館で占ってもらいなさい」と話した

ル.スヴーニアの場所と探すものは何なのか訪ねようすると黒い闇の様なものに姉が包まれて居なくなってしまったので

しかたなく、毎日学校の近くの高い建物に昇ってロイヤルブールのやねを探し

一月かけてやっとル.スヴーニアを見つけた

そして、今日此処にきた

その夢以来姉は現れない

おそらく事故の現場辺りで無くしてしまった何だか分からないものを探してほしい

というのが今回のお客様山科姉妹の依頼の内容であった

蒼生は、、占う方法と料金についていつも通り、話すことにした


「 世の中には色々な占いかたがあると思うんですが 、我が家では三人の占い師で占います、各自が得意な占いで、その都度、必要に合わせて占ってきい、お探しの物をみつけます

すぐに見つかる場合も在りますが

今回のような場合、何ヵ月もかかることもあります

半日で見つかっても、一年かかっても代金は、こちらが始めに提示させていただいた分だけをちょうだいいたします」

僕は、話終えるとテーブルに料金の書いた紙を置いた

五万円

高校生には高いのでは?と思ったが紫の、決めた額は絶対なので蒼生は、そのまま出した

「分かりました」と言って鞄から封筒を取りだし、そのまま差し出した

封筒の中のお金は、亡くなる少し前に入学祝として七緒が七海に贈ったもので

中身はちょうど五万円入っていると七海が説明した

なるほど、この封筒の事が母に見えていたんだなと僕は、思った


魔女と一括りにしているが、彼女たちは、各自違ったスペックを、持っている

超能力と言う表現を使うのなら

サイコキネッシス、テレパシー何て感じになるのだろうか

中には、人の心を操るような者もいる

もちろん、一つだけの能力だけでなく、一人でいくつも使えたりもする

そんななかでも、僕らの母親の紫は千里眼的能力が使える、遠くのものや出来事が分かったり、机の中や、七海の鞄のなかの、そのまた封筒の中身を覗けたりもする

碧は、先程もお見せしたように、この世にいない者を見たり物の思念を読むことが出来る

紅は人の心の底にあるイメージを読み取ったり人の記憶に入り込んだり出来る

そして僕は……普通の人と同じ様に生きれる

彼女たちに言わせれば、それが一番なのだそうだ

僕が、七海を玄関まで見送くり、そして

いつものように捜索会議が始まった


この館のリビングには、まあるい大きな堀炬燵風のテーブルがある

それを家族で囲み母の入れた飲み物と、それに合うお菓子を食べながら捜索会議をするのが習わしで、蒼生が透明のボードに依頼内容や分かっていることを書き出し、お茶とお菓子が各自の前に置かれたときから始まる


今度の依頼主は

山科七海

そして、その姉で今はもう亡くなってしまった山科七緒の姉

探し物は

七緒が事故にあった時、落とした

七緒の大切なもので何なのかは不明

事故現場は花咲町の公園の前で

早朝に車が走ってきた所にふらっと七緒が飛び出してきてので、自殺ではないかとせれている

と今わかっていることを書き終え

捜索会議が始まった



「ねえ、あのお姉さん、何かおかしいのよ」

かぶせ茶を一口すすり碧が顔を曇らせながら言い出した

「どうおかしいのよ、くわしく教えてくんないと、全く見えない私にはわかんない」

紅の言うとうりで

碧以外には、全くお姉さんは見えない

茜さんと母は気配くらい感じられるのだろうが

まだまだ、未熟な紅と凡人力高めの僕には全く分からない

「何故だかは分からないんだけど、お姉さんを感じ取ろうとすると、彼女を何かが包み混んでボンヤリとしたものにしてしまうの」

碧の言葉に

「それは、暗い闇のようなけれどはげしい何か人の気持ちの様なもので出来ている様に感じる」と母が捕捉をいれた

「これは、厄介な事に成りそうだわ

うちだけでなんとかなるといいんだけど」と茜さんが言い出したので僕ら兄妹は一気に不安になった

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