食いしん坊万歳 美味しいもの珍道中

第1話 とある秘密のレストラン

　私たちが今回お邪魔させて頂いた所は、都心近郊のとあるテーマパーク。その中にあります、会員制の秘密のレストランです。とにかく美味しいと風の噂で聞いておりました。

　インターホンで訪問を告げると、開かずの扉はそっと開き、我々を迎えてくれました。

　内装は19世紀のイギリスマナーハウス風で、華やかであってもとてもシックで落ち着いており、外の喧騒からは隔絶された空気が存在していました。

　そして、お楽しみの食事に。ここは、季節に合わせたひとつのコース料理しかなく、メインを魚と肉から選択する、そういう注文です。私は魚を、伴侶は肉をチョイス。

　まずは食前にノンアルコールカクテルを。オレンジジュースにグレナデンシロップを合わせてあり、甘酸っぱくて口がサッパリします。そして食事に。

●タチウオとナスのソテー　季節の野菜添え

　タチウオとナスを重ねたモノをしっかり焼き、じゃがいも『インカの目覚め』やマイタケを添えた一品。タチウオは身がしっかりしていてナスはトロリとした食感で、差が面白いモノでした。

　添えてある野菜も最適な調理を施してあり、美味しく頂きました。特にサツマイモを薄くスライスして素揚げたしたものがあり、パリパリとしていて良いアクセントになっておりました。

●バターナッツカボチャのポタージュ

　バターナッツカボチャという甘味とコクの強いカボチャを使ったポタージュスープ。濃厚な甘味が舌にまとわりつく、コクの強いなかなかの重い味わい。その味を引き締める、上にちらしたピンクペッパーが、いい仕事をしていました。

●金目鯛の蒸しもの　九条ネギのピュレと柚子のムース

　油分の多い金目鯛を蒸す事で、余分な油分が落ちてサッパリと。しかも火の通りが柔らかなため、身は適度な弾力を持ち、プリッとした食感になっておりました。

　添えてあるネギのピュレは青い風味を、柚子のムースは爽やかな香りを。どちらも金目鯛の風味を引き立てておりました。

　傍らにあるさやえんどう・かぶのなどの網焼きも、香ばしくパリッと焼いてあり、これ単品でも十分な美味しさでした。

●スイーツ３種(クレームブリュレ・ゆずのスフレ・塩アイス)

　塩アイスはほんのりとした塩味。ゆずのスフレは柔らかくフワフワ。クレームブリュレは上面のキャラメリゼのパリパリと中身のトロリとした舌触り。どれも美味しい甘味でした。

　スイーツに合わせるのは、伴侶はエスプレッソをダブル、私はダージリンを。クレームブリュレは濃厚なため、苦みばしったエスプレッソが合い、柔らかで爽やかな香りのスフレはダージリンに、良く合っておりました。

　ちなみにこちらの紅茶は、『三井農林(日東紅茶の親会社)』のものだそうで、ダージリン特有のマスカットのような香りがしっかりと鼻腔に抜ける、良質なものでした。

　一種異次元に迷い込んだようなひとときを味わい、私たちは喧騒あふれる現実世界に。またいつか戻りたい、味わいたい。そう思いつつ、帰路に着いたのでした。