隣国バルリムへ!

リゼットの申し出を断ると彼女は『わけわかんない』みたいな表情をしながらシキの着ていた黒ローブを掴んでいた。


これが『摘まむ』ならどれだけよかっただろうか。完全に胸倉を『掴んだ』様にしているので第三者からは勝つ上げされている様にしか見えなかった。


「何でだよ!ここは『うん』って言うところだろうがぁ!」

「だって俺今日この国から出るし……」

「なら俺も着いていく!」

「……いやいやいや、意味わからんぞ?何で俺とパーティー組みたいんだよ」

「それは……」


何やら深刻そうな表情をしているリゼットにシキはただならぬ予感を感じていた……様な気がした。


「それは……俺の勘だ!」


まさかの勘だった。


さっきの深刻そうな表情は特に意味が無かったらしい。


シキは掴まえていた手を優しく解くとギルドの外へ出ようと考えた。これ以上は面倒臭いと。


「うん、そうか。じゃ!」

「おぃぃぃい!何でどっか行こうとするんだよ!」

「いやだって、いきなり勘だとか言われても困るし……」

「だってお前とパーティー組んだ方が良いって俺の勘が言ってるんだよ!」

「……大丈夫か、その勘」

「そんな哀れんだ目で見るんじゃねぇ!」

「うん、見ないからもう帰るね」

「だ~か~らぁ!俺とパーティー組めよ~!」


リゼットはシキに腰にしがみつく形となっている。その影響か黒ローブが下にずれてフードも捲れてしまいそうだ。


暫く格闘してるとシキは溜め息をつくとリゼットを見る。

おそらく離してくれそうにも無い。


周りをチラリと見るとかなり注目されて目立っていた。


これ以上目立たない様にするには彼女とパーティーを組むしかない、そう考えてシキは決断する。


「……わかったよ。パーティー組むから」

「本当か!」

「だから早く離してくれないか?」

「おう、わかった!」


何とか離れてくれたので服装を、主に黒ローブとフードを整えた。

それにしてもシキとリゼットがパーティー組んだ事にざわめくギルド内。


居心地が悪くなったシキは何処かへ移動する為にリゼットへと声をかけて外に出た。


「なあ、お前の名前は?」

「シキだ。」

「……なあシキ、何で顔隠してるんだ?」

「隠したら駄目か?」

「いや、いいけどさ。で、何処行くんだ?」

「今から馬車と馬を買って隣国バルリムに向かう。」

「そうか!俺馬操れねぇけど大丈夫か?」

「安心しろ。ちゃんと出来るから。」


そうこう言いつつも馬小屋が横にある建物に到着しその中へ入るとシキはその店員へと話しかけた。


「昨日予約したシキなんだが……」

「あぁ、お待ちしていました。今用意しますので外で少々お待ちください」


そして外で待っていると一匹の足が太い馬とその後には帆馬車を引いて連れてきた。


「馬と帆付き馬車で中金貨5枚です。」

「ほい」

「確かに頂きました。馬車の操縦の説明は不要でしたね。ではこれで」


店員が店へ帰っていくとシキは馬を撫でて「頼むぞ」と呼び掛けると「任せろ!」といった感じにブルルル!と唸り声を出していた。


「なぁ、この馬名前あるのか?」

「いや無いと思うが……」

「そうか、ならお前の名前は『ランスロット』だ!」

ーーーヒヒーンッ!!!

「え、気に入ったのか?」

「そうみたいだな!」

「良いのかそれで……」


そんなこんなでシキとリゼット、そして『ランスロット』は隣国バルリムへと向かうのであった。





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名前 ランスロット

性別 雌

ランク E

種族 ノーマエクウス

職業 馬車引き


レベル 10

体力 300

魔力 100

筋力 500

耐久 300

俊敏 500

ーーー

[固有スキル]

魔力適応


ーーー

[スキル]

強化.1

風魔法.0

雷魔法.0

木魔法.0

**.0


ーーー

[称号]

シキの仲間

可能性を秘めし者


ーーー



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