第37話「幼き子たちよ」

遠足だろうか


ピーターパンが 


いっぱいいる


のっぺりとした 顔 顔 顔


遺伝子 そのままの顔が


行儀良く 並んでいる


そこには


まだ 人生という個性がない


彼らは


いまだ世間という


手垢に 染まっていないから


甲高く 華やかに


そして 


コロコロと 鈴を転がしたような声


時には うるさいくらいの声が


広場に響く


だが 彼らは知らない


恋愛 結婚


受験 就職


ままにならないことが


いっぱい 待ち受けていることを


自分では どうしようもないことばかり


そう 世間という 


手垢に染まる前の


それは 穏やかなひととき


ああ


ここにも あそこにも


ピーターパンが


いっぱいだ


彼らは 人生という


荒れ狂う海に出る前の


穏やかなひとときを


夢見ているのだ

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