第8話「眠ったままに」
無言の存在が
混沌と 戸惑いを招く
俺は
冬枯れの 梢を折った
奴らは
眠ったままに 死んでいくのだ
永遠とは 言わないが
見飽きちまった
この街 この山 この海
どこまでいっても 俺の人生
情けないが 俺は
眠ったままに 死んでいくのか
無言の存在が
混沌と 戸惑いを招く
ああ
バラにはバラの 夢があった
バラは
捨て去ることもできぬトゲを
隠すことなく 露に濡らせて
美しすぎる夢を 持っていた
俺は バラから目をそむけ
どこまでも続く 白く輝くレールを見る
レールは わしづかみにした青空を
かたくなな体に 取り込んでいた
遠く 遠く
その向こうに 何があるというのだ
ああ
俺は見飽きちまった
生きる証の 骨組みが
ギシギシと 音を立てる
吹く風には
いつも 夢があった
遠く 遠く
彼方から 光を宿してやって来た
止むことのない
緑の風が 吹き抜けて
見飽きちまった
俺の夢の端を 奪い去っていった
その時 折った梢は
嘲うように 白い息を吐き捨てた
夢見るバラは
いつの間にか 青く姿を変える
灰靑の バラの回廊は
迷い込んだものを すべて青に染めぬく
染められし心は
バラの魔手より 逃れる術はないのだ
ああ 偽りの
陶酔の時が来る
俺が 生き続ける証は
心の奥の 砂漠にあった
乾いた砂漠の中では
腐っちまった学問が プロセスチーズを作り続ける
臆病で 貪欲な口を持つ蝿に
熱い眼差しを送り続ける プロセスチーズ
蝿とプロセスチーズが 悶えるなかで
俺は怒りと嘆きの蟻地獄に 首まで飲み込まれていた
俺が生きる 唯一の証は
糞尿の城を おっ立てることだ
おっ立てる以外に
何ができるというのか
腐りきった脳みそは
メリーゴーランドに 女の足
油皿の グリーンピースは
安酒場で 踊りながら崩れさった
せき立てる影に
重みのない脳みそは プラネタリユム
閉じ込められた 俺は
映された星のごとく
重みもなく
自分の存在すら 証明することができない
ああ ビロードが
ビロードであることを 高らかに歌っている
それなのに 俺は・・・
一グラムの重みもない
陶酔の時が来る
そのまま俺は 眠ったままに死んでいくのか
陶酔の時よ来い
陶酔の中でこそ 我は消え去らん
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