第9話 「介護になっても知らんぜ」

 その日の夕食時

次男の智志に電話を入れる。

勝手に防具を使うのもと思い、一応掛けてみた。

「もう剣道はやめたんで、使うてもええけど

 夏は気つけんと、熱中症になるぜ」

「夏まで続くかどうかわからんけど

 まあ、気つけてやるわ。ありがとね」

「お父さん! 何が剣道よ(怒)

 そんなことして、頭たたかれて、介護になっても知らんよ!」

妻の由紀が憤懣やるかたないちゅう表情をして

口をとんがらしている。

 「ちゃんと防具もあるし大丈夫よ」

「ほんまに?もうええ齢なんやから・・・・」

「若い頃から、剣道はやりたかったんよ。

 合気道やってた時も剣道やりたいなあ、思うてたんよ。

 道具が高い思うてたんやけど、智志のがあったき

 有難い!思うたわ。面も胴もサイズぴったしよ」

「練習はいつ?」

「毎週土曜日の6時過ぎから8時前までや」

「ほんま気つけてやってよ。無理や思うたら

 すぐにやめてよ」

「わかった、わかった。気つけてやるき心配しな」


明日は、竹刀を見に行こう。

次は、本屋に行って、教本を手に入れよう!

なんか、続きそうな気持ちになって来たぞ。



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