第2話 優越

彼は無口だ

だいたいの会話のきっかけは私から



仕事の話は極力しない

お互いにそれなりのプライドを持っているから

最終的には険悪な空気になることは十分に分かっているから



私はこの年齢の女らしくなく可愛らしい性格ではない



早い段階から認められたこともあり

しっかりとした大人達の中で方を並べ働いている

実際は足がつって転びそうなくらいに背伸びしているのだが・・・



彼は職場では後輩や女子社員達に怖がられている



鋭い目は何かを見透かしているようでごまかしは効かない

ちゃらちゃらとセクハラまがいなどうでもいい会話もしない

笑顔もあまり見せない



だけど上司からの信頼は厚い



そして何より

私の前だけでしか見せないリラックスした表情は

私にとっては格別に優越した気持ちにさせてくれる



私が肴のエイヒレ炙りを注文したとき

彼が小さくため息をついて話し始めた

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