第13話 嫉妬
今日で学生達の一週間の研修も終わる
何事もなく・・・・・・?
だったのか?
研修中
栞は必要以上の発言はせず
麻耶子と話すときは目も合わさず
斎藤先生や濱田くんは
「君はもの静で冷静だね」
と言っていたが
麻耶子にはただ不機嫌な態度に見えた
今夜は斎藤先生の計らいで
学生達と食事会
麻耶子は仕事をたてに会には遅れていくことに
できれば行きたくないと考えていた
21時
濱田からの着信
”ぷるるるる ぷるるるる”
麻耶子は眉間にしわを寄せて電話に出る
「もしもし」麻耶子
ザワザワとした賑やかな音が聞こえ
濱田が大きな声で話す
「麻耶子先生!今どこですか?」濱田くん
酔っているようでろれつが回っていない
「医局」麻耶子
麻耶子は少し面倒な声で言った
「えっ?まだ病院にいるんですか??
早く来てください!大遅刻ですよ」濱田くん
「・・・・・・けっこう出来上がってるわね
皆さんで楽しんで
もうこんな時間だから私は・・・・・・」麻耶子
すると濱田の携帯を斎藤先生がとって
「麻耶子先生
みんな待っています
今からでも来てください
学生達も待っていますから」斎藤先生
「・・・・・・はぁ」麻耶子
どうやらかわせない様子
これは行かないとらちがあかない
そう思って麻耶子は腹を決めて身支度をしタクシーに乗った
聞いていたお店に着いたのは
着信から30分後
”ガラガラ”
引き戸を開けると
「いらっしゃいませ!!」店員
お店の人の勢いのある声
平日なのに賑わったお店
麻耶子が左右をキョロキョロ見ていると
奥の座席に座った悠介と目が合った
「おせぇよ!」悠介
すると皆がこちらを向く
麻耶子は小さく頭を下げながらみんなのいる所へ
「社会人として協調性がなさすぎるだろ?」悠介
みんなけっこう酔っている
斎藤先生はいつになくニコニコしているし
濱田くんの顔は緩々になっている
悠介の目の周りは真赤で
優はもう眠たそうだし
美香は栞の肩にべったりともたれかかっている
栞は・・・・・・ぼんやりした目で麻耶子を見る
「そろそろお開きですか?
私 さいごの乾杯だけ参加させていただこうと思って」麻耶子
「麻耶子先生
だめですって!
最後の乾杯だけだなんて!!
すみませーんビールください」濱田くん
麻耶子は濱田くんに手を引かれ
斎藤先生の横に座らされる
麻耶子は小さく会釈する
顔を上げると栞と目が合った
麻耶子は目をそらした
「今 麻耶子先生の話で持ちきりだったんです
麻耶子先生 斉藤先生との恋の行方教えて下さいよ」由香
麻耶子は驚いた表情で斉藤先生のほうを見る
斉藤先生は照れ笑いを浮かべながら小さく頭を下げる
「何のことですか?」麻耶子
すると悠介がニヤニヤしながら
「父さんと医局長に引き合わされたんだろ?
あれからけっこう時間たってるよね?
まだ答えだしてないの?」悠介
麻耶子は悠介を睨む
「こわっ」悠介
悠介はそういうと目をそらし黙った
麻耶子は少し栞のほうに目をやる
真っ直ぐに見ている
「お酒の肴にしては気分のいいものじゃないわね
そう言う会話・・・・・・」麻耶子
麻耶子は明らかに不機嫌になる
「すみません麻耶子先生」斎藤先生
斉藤先生はバツの悪そうな顔をする
「いえ・・・・・・」麻耶子
「麻耶子先生!聞かせてください!!
今夜はブレイコウでしょ?
私 女医の先輩のそう言う話聞きたい」由香
由香は栞の膝に手を乗せて
べたべたしながら言う
「俺も聞きたい」栞
栞がいつもより低い声で聞く
「・・・・・・やっぱり来るんじゃなかった
私 失礼します」麻耶子
麻耶子は独り言のように呟いて逃げるようにその場を去った
店を出ると直ぐに斉藤先生が追いかけてきた
「麻耶子先生!」斎藤先生
麻耶子は小さく頭を下げて目をあわさずにタクシーに乗り込んだ
斉藤先生は明らかに落ち込んだ様子だったが
麻耶子はそれをあえて見ないように目を伏せてそのまま帰っていった
麻耶子の心はざわざわしていた
栞の前で話したくない内容だったこともあるけど
栞にべったりとくっついていた由香が目に焼きついてしまって・・・・・・
タクシーの中で何度もため息をついて呼吸を整えた
嫉妬なのか?
自分のことは棚に上げて・・・・・・
少しだけ自分に呆れた
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