お腹がいたい。
「うあっ・・・」
激痛だった。
腹がいたい。とにかく痛い。お腹の中からナイフを刺されているような痛みに眼球が震える。全身が丸くなる。
今まで味わったことのない慟哭。腹にあった冷たさがすべて私を攻撃する何か・・・亜鉛が腹にたまったような激しさ。
「眠れない!起きれない!眠れないよオ!!」
鈍い覚醒と睡眠の間に、指先まで、挟まる。全身が潰れる。
どうしてこんなに痛いのか。
響く腹に問いかける。警鐘を鳴らす脳が必死に記憶網を巡らす、六畳間。近くて重い天井。
昨日食べた無機質な食パン、巡るファストフード、冷えた最後の一本のポテトに帰って食べた冷凍したえびが踊るピラフ。違う。一昨日か、一昨日食べたレトルトカレー(決してそれはカリーではない)、違う。保証された人工の安全100%しか口にしていない。どぼどぼ。
では何か。ストレスか。
上司の顔がデスクの背景を伴って浮かぶ。声色は少し蛙に似ている。佐藤さん、佐藤ちゃんよそよそしさと親しさをうまくブレンドした人々の声が耳とこめかみをかすかに響かせる。違う。なにかしらこの激痛とピンとこない。其処にいる私は生きていながら生きていないので痛みは感じないはずである。べろべろ。
では何か。
何なのか。
「痛いよオ」
そういえば。
最後に排泄したのは何時なのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます