お腹がいたい。

「うあっ・・・」

激痛だった。

腹がいたい。とにかく痛い。お腹の中からナイフを刺されているような痛みに眼球が震える。全身が丸くなる。

今まで味わったことのない慟哭。腹にあった冷たさがすべて私を攻撃する何か・・・亜鉛が腹にたまったような激しさ。

「眠れない!起きれない!眠れないよオ!!」

鈍い覚醒と睡眠の間に、指先まで、挟まる。全身が潰れる。

どうしてこんなに痛いのか。

響く腹に問いかける。警鐘を鳴らす脳が必死に記憶網を巡らす、六畳間。近くて重い天井。

昨日食べた無機質な食パン、巡るファストフード、冷えた最後の一本のポテトに帰って食べた冷凍したえびが踊るピラフ。違う。一昨日か、一昨日食べたレトルトカレー(決してそれはカリーではない)、違う。保証された人工の安全100%しか口にしていない。どぼどぼ。

では何か。ストレスか。

上司の顔がデスクの背景を伴って浮かぶ。声色は少し蛙に似ている。佐藤さん、佐藤ちゃんよそよそしさと親しさをうまくブレンドした人々の声が耳とこめかみをかすかに響かせる。違う。なにかしらこの激痛とピンとこない。其処にいる私は生きていながら生きていないので痛みは感じないはずである。べろべろ。

では何か。

何なのか。


「痛いよオ」


そういえば。

最後に排泄したのは何時なのか。








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