初めてのデート ② 【スピンオフ】


「アリスが産んだから、アリスの子供?」


「私、あなたの子供だと思ってるんです。あなたが大切に思うものだから、大切にしようって思った時、お互いがそう思い合う事が出来たら、一つでいられるのかなぁ?って、ルージュとブランシェを起動させた時、思ったんです。


あなたは私の実績を大切に考えてくれました。でも、あなたの一番が何か分かりませんでした。あなたは色んなものを愛しています。もちろん、ただ一人だけを愛して欲しい訳じゃないですよ。そんな事言ったら、家族が増える度に誰かを選ばなくてはならなくなります。」


「……そうね。」


「いつかのあなたと同じ年齢になってみて、あなたの言葉を思い返しました。自分の事もろくに考えられなかった私に、多くの事を教えてくれました。人として愛されていたんだなって感じられた時、改めて凄い人だなって思いました。」


「…………。」


「もっとあります。お腹が大きいとき、そんな腹で堂々と出歩くなとか言われた事あります。子供をつれているときも、完璧なコントロールを求められているような重圧にさいなまれる事がありました。


亜蘭がいる事が当たり前のように過ごせたのは、限られた場所や条件がありました。ママたちが集まる場所やミキとかルカが隣にいるときもだけだったの。だから、あなた何も言わなかったんでしょう?守られた環境にしてくれてたんだなって、改めて思いました。


今になって思う事ですけど、どんな人も産めるときにしか産めないし、子供は大人の理屈なんてお構い無しよね。」


「何時まで経っても現実が受け入れられない奴も居るんだよ。人の事言う前に、お前が存在してるのは両親がイチャコラした結果だぞ、生きてて恥ずかしくないのか?とか、お前だって生まれた時はこんなんだったかも知れないよ?って言ったら面倒臭くなるだけだから、そういう奴は桃から生まれて、いきなり大人になった方ですね~、わかります!って思ってりゃ良いんだよ。」


「ふふ……可笑しい。そう思うことにします。いつかのあなたを振り返って、子供が理由であれもこれも出来ないって言いたくないなって思ったんです。ですが、世の中には結婚したらこう、子供が居たらこうと言った偏見がまだあります。実際に働いて社会を支えている人たちの多くはお父さん、お母さん達よね。」


「……少年に世界を救わせようとしたり、他に何も出来ない位、業務に追われて家族も大事に出来ない大人とかな。未婚じゃないと活躍できないかのような、結婚が墓場みたいな風潮が無いとは言えないな。」


「勇者なんて殺人鬼よ。免罪符があっても殺戮と強盗を繰り返してる恐ろしい職業で子供に遊んで欲しいとは思わないわ。時と場合によっては英雄ですけど。」


「強い奴同士、ナンバーワンを決めるために潰しあってどうすんだよってのもあるな。力を合わせて何かを成し遂げる姿勢を見せる方が大事なんじゃないの?とかは思ってたな。」


「それ、ありますよね。てゆうか、子供にすがるまで落ちぶれてしまったなら、戦わせるまで行かないですよ。一人の勇者に託すより先ず大人が立ち上がらなければならない事態ですし、そんな決定する国王非難するでしょう?親の気持ち、当たり前がわかる代表を求めるでしょうし、もっとお父さんお母さん達が活躍する物語を描いていっても良いですよね。」


「そういういい方されるとそれはそうだとしか言えないな。その中でも、能力さえ身に付けば何歳からでも活躍出来る場所がある事を、どんどん報せて一緒に未来を作って行ける権利も教えた方が良いとは思うよ、勉強する意義にもなるし。ただ、丸め込まれやすいから真っ当な事言える大人のサポートは必要だけどね。」


「……ヘンリーに言われたわ。彼、随分、思い切った決断したねって。」


「俺じゃねぇし。」


「ふふ……ちゃんと言ったわ。お母さんが活躍したっていいでしょって。」


「俺の中では知らない奴の前で脱いでケツ出した女に変わりはないからね。」


 ルカの言葉にアリスはしばらく考え込んでしまった。


「そういういい方されるとそれはそうかもしれないって顔すんな。今頃かよ。」


 ルカは呆れながらも言った。


「まぁ、そういう考えなら、賛同はできるよ。それなら、結婚してからも縛られずに活躍できる道を探したらいいんじゃないの?」


「でも、あなた、結婚するために結婚したいみたいに見えます。お腹大きい時、何考えてました?」



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