後編 ②登りきれ!2
5階
「問題読んでくれる?考えたいから。」
「オーケー。」
ミキがキーを通した。
「このバスはどちらへ進みますか?右だ。」
ミキが回答すると、開錠の電子音が鳴った。ルカが尋ねる。
「何でわかんの?」
「これ、ネットで見たことある。バスの乗降口が付いてない方から見た絵なんだって。」
「ふーん。」
6階
「トラックの運転手に助手席の人はあなたの息子さんですかと尋ねると、そうだと答えましたが、助手席の人に運転手はあなたのお父さんですかと尋ねると違うと……。」
「お母さん。」
開錠の電子音が鳴った。
「ずっとこの程度ならいいんだけどね……。」
ルカが不安を口にした。
7階
「2択。容積3リットルのバケツを使って一回で5リットル……。」
「できる。」
開錠の電子音が鳴った。
「どうやって?」
ミキが尋ねた。
「氷にして突き刺して運ぶとかそんなんだろ。」
「めちゃくちゃな……。」
8階
「エレベーター行ってみるか。」
ミキが5階あがれるエレベーターにキーを通した。
「300、29……。」
「1、ハインリッヒ。」
開錠の電子音が鳴った。
「いけそうじゃない?」
とミキが声を掛けるが、ルカはどこか浮かない表情のままエレベーターに乗り込んだ。
13階
降りた向かいの5階あがるエレベーターにキーを通した。
「S、W22、14、O、R、Rは何?」
「ライトスクリュー、右ネジ。」
開錠の電子音が鳴った。
18階
5階あがるエレベーターにキーを通した。
「60℃加湿の水素と空気による発電で、900℃加熱時の理論開回路……。」
「無理。計算が間に合わない。」
ミキが適当にボタンを押すが、エラー音が鳴ってロックが掛かった。
「18階でこれかよ……。」
ルカが膝に手をつきながらこぼした。
「5階あがるエレベーターは知識だな、多分。知ってれば答えられる部類だろう。10階は何だ?」
と言いながら、ミキが10階あがるエレベーターにキーを通した。
「3、A、4、C、D、6、F、7、H、I、9、次の二つは何?」
「パス、苦手。」
ミキが適当にボタンを押すとエラー音が鳴った。
「10階は知能だな。」
とミキが言うと、指先でチュッパチャップスをくるくる回しながら、ルカが開き直って言った。
「俺の頭は石より硬ぇんだよ。」
「20階あがれるエレベーターは何だろう?」
ミキがキーを通してみた。
「円周率、小数第1131位の数字は何?」
「ダメだ、パス!」
「はいよ。」
ミキが適当にボタンを押すと、開錠の電子音が鳴った。
「5択なら押さなきゃ損。」
ルカの背中を叩きながらミキが笑顔を見せるが、ルカは天井を見上げて言った。
「20階は記憶か……。だろうな。」
38階
「もういっちょ試してみるか。」
ミキが20階あがるエレベーターにキーを通した。
「イプシロン、カプロラクトン、変性トリス、2、アクリロキシエチル、イソシアヌレートと……。」
ルカが検索しようと入力を試みるが、途中で手を止めて言った。
「無理、間に合わない。」
ミキが適当にボタンを押すが、エラー音が鳴り、ロックされた。
「そう、うまくはいかねぇか。」
「階段で行こう。地道にどの階まであがれるか試した方が無難だ。」
ルカが提案した通り、外階段に回る事にした。
39階
「朝食にベーコンを食べている人が5人、ソーセージを食べている人は7人、コーンフレークを食べている人は10人、トーストを食べている人は何人ですか?」
「知るか!5人!」
開錠の電子音が鳴った。
「適当過ぎる!問題が!」
「は?これ、アルファベットにしたときの文字数と人数が一致するから、規則性を見出だせって事じゃないの?」
「……モーニングプレートにベーコン乗ってたら、大体、トーストがついてくるって話じゃないの?」
ミキが呆れて言った。
「知能は完全にダメだな。英語がダメか。」
「運も実力のうちってね。」
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