第2話

男達が集団で歩くようになったのは翌日のことだった。


女を怖がるように出来るだけ男と男が近づいて歩く、それが俺の見た登校風景だ。


電車の中でも顔を赤くして俯いているイケメンサラリーマンとか、男子高校生は皆何かしら痴漢行為をされているらしい。

俺は必死に防御したが。


学校のあるホームで蹲って泣いている年若い男達。


それをニヤニヤしながら通り過ぎるOL。


「じ、地獄だ・・・」


俺は足早に学校へ向かった。


そして、学校への途中の路地で3人の女生徒たちに囲まれてしまったのだ。


A「2年の鴨志田君って言ったっけ?なかなか可愛い顔してるじゃない」


「え、いや、ぼ、ぼく」


B「良いから、いいから、そんなに緊張しなくて、男の子って毎日出さなきゃダメなんでしょ。お姉さんが手伝ってあげるから」


C「そうそう、優しくするから、ね、ちょっとこっち来て」


「困ります、俺学校行かないと」


A「大丈夫、大丈夫、痛くしないから」


そこで、突然俺たちの目の前にさっそうと一人女生徒が現れた、昨日俺を痴漢した野上ほのかだ。


「鴨志田君を離して!」


彼女はさっとABC達の前に立つと俺を自分の後ろに庇った。


B「うぜー、何こいつ、馬鹿じゃないの?」


C「そうそう、鴨志田君、こんなのほっといて行こう、ね」


「ほら、行くわよ!」


「あっ」


俺は野上に手を引っ張られて学校へと行ったのだった。


野上さんカッコイイ、な、なんて思ってないからね。


「もう、離せよ野上」


俺は学校でも手をつなぎ続ける野上に照れて言った。


だが、野上は無言で俺の手を引っ張り続ける。


「おい、どこへ行くんだよ」


野上は答えず、昨日の痴漢現場に・・・。そして、再び壁ドンされた、それも怖い顔で。

「ねぇ、鴨志田君、もしかして私余計なことしたかしら?」


「い、いや、助かったよ、ありがとう野上」


「ふん、私安い男って嫌いなのわかる?」


「え・・・、いや・・・え?」


野上はジロリと俺の睨む。


「貴方が誰のものか、体に教え込もうかしら・・・」


「ちょっと待て野上、落ち着け、俺は別に・・・安いとかそういうことないから」


「田中君なんてすぐやらせるらしいわよ・・不潔」


たなか・・・・俺は昨日の女教師の乱暴行為を思い出した。


あの大人しい田中の事だ・・・・・。可哀想に。


「兎に角、他の女に色目使ったら私怒るからね」


「いや、俺たちは別に・・・」


「なに?」


「いや、別になんでもないですよ」


野上はフンッっと息を吐き出すと手を握って俺を教室に引っ張る。


まぁ、頼もしいんだけどね、女の視線から守ってくれるから・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る