第340話評判が悪い良子さん(完)

そんな評判が悪い良子が、会社を休んだ。

理由としては「風邪をひきました」で、二、三日休むことになった。

同僚のOL仲間は


「鬼のかく乱?」

「丈夫そうだったのにねえ」

「でも、これで落ち着くかなあ」

と一旦は喜ぶものの


「でもさ、イケメン係長とか、御見舞に行ったりして」

「課長も心配しているしさ」

「いなければいないで、気に入らない」

と、新たな文句も出てくる始末である。


ただ、良子の不在は、OL仲間には困った事態が発生した。

まず、男性諸氏の機嫌がよろしくない。

そして係長に書類を提出しても、赤字修正だらけで、突っ返される。

いつもは、良子がチェックして持っていったのだけれど、そのチエック役がいないことも、その原因かもしれない。


課長の顔も焦りだした。

「この作業ペースでは、とても理事会に間に合わない」

「やはり、良子さんがいないと」

「うーん・・・風邪だしなあ」


三日目の夕方には業を煮やしたイケメン係長から、OLたちに直々のご説教まであった。

「良子さんは、明日出て来るはずだけど、あなたたちの仕事の再チェックをしてもらうことになる」

「少しは、良子さんを見習って、キチンと仕事をしたらどうなの?」


OLたちの表情は、完全に「ムッと」した状態。

そして

「私たち、頑張っているんです!」

「良子さんの穴埋めをして!」

「良子さんって、ご自分の健康管理も出来ないんですよ!」

「それなのに、どうして良子さんの肩ばかり持つんですか!」

文句を言いだしたら、キリがない。


そんな話を横で聞いていた、「お局様」が一言。

「せめてね、文句が言えないような仕事をやってから、他人の文句を行ったらどうなの?」

「少なくとも、あなたたちのミスだらけの書類を、良子ちゃんは顔色一つ変えずに直していたよ、係長以外の男子社員にも頭を下げてね」

「それもわからないの?知らなかったの?」


この「お局様」の一言は、若いOLたちにはキツかったようだ。

結局残業してまで、「自分たちの書類ミス」を訂正したのである。


そして翌日、出勤してきた良子には、「快気祝い」パーティーが、課内で開かれた。


その発案者は「OL仲間一同」だった。

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