第188話亜希子の「お相手」(1)
亜希子は、自他ともに認める高貴なお家柄、そして美貌を誇る。
そのためか、相当な自信家である。
「私は、結婚するんだったら、最低限、数億単位の家屋敷を持つこと、それだけでは足りない、年収も億に近い数字は必要」
「ああ、住んでいる所も、都内か地方だったら、最低限、新幹線の「のぞみ」が停車する大都市に住んでいないと、結婚してあげないの」
「ああ、付き合うことだって、そうでないとダメ」
「結婚相手にしろ、付き合う相手にしろブランドが一番大事、愛なんてのは、どうせすぐに醒めるものだから」
そうやって、亜希子にとって「数億単位以下の家屋敷の人間」「億に近い年収の人間」「のぞみ停車駅の都市に住む人間」以外を、「お相手として認めない」ものだから、なかなか見つからない。
結局、その両親が苦労して見つけてきたのは、財閥系の御曹司だった。
確かに、東京在住、世田谷に広大な家屋敷、年収も貿易関係の経営者なので、ほぼ希望に近い。
ただ、問題は、その御曹司の容貌と女性関係だった。
「やだ、こんな脂ぎった男」
「囲っている女だって多いって話でしょ?」
「そうなると、薄汚い」
「一緒に歩いて、恥をかくのは私になる」
「だから、しっかり探してよ!」
そんなことで、亜希子の「お相手」は、なかなか見つからない。
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