第133話美佳のダイエット
いつの間にか付き合うようになった美佳が真顔というか、必死な顔で
「当分、お食事には誘わないでください」
そう言ってくるものだから
「うん、それならそうする」とだけ応えた。
ある意味、気楽になる、「渡りに船」だと思った。
そうなると、やっと男友達と、遊びに行くことが出来る。
今までは、そんなことをいうと、美佳は文句しか言わないので、行けないことが多かったから。
それに、美佳の前では、「口が裂けても言えないようなこと」も、思いっきり言うことが出来るし、食べたいものも自由に食べられるし、飲み放題になる。
数日して、別の女子学生から美佳の噂が飛び込んで来た。
「美佳さんね、必死にダイエットしているらしい」
「お昼もね、おにぎり二個だけ」
「確かにね、最近・・・」
そう言われれば、最近はふっくらとしていた感はあった。
こっちは気にしていないけれど、美佳にとっては気になるのだろうか。
「まあ、時間の問題だろうね」
そう思って、しばらく美佳には声をかけないでいた。
ただ、そうなると、別のお誘いも来る。
悪友たちに混じり、悪友に連れられた女子大生たちとの食事や飲み会が増えたのである。
そして、それはそれなりに気分転換で、面白かった。
美佳には、なんとなく遠慮するようになり、連絡もメールもしないようになった。
そんな生活が、三週間ほど続いた。
突然、美佳からメールが入った。
「文句があります」
題名からして、「文句」である。
否応なしに、身構えることになった。
「私を誘わないことを理由にして、遊びまくっているとか」
「遊びまくって、他の女と和む?」
「この私が、必死にダイエットしているのに」
・・・・・
いろいろ書いてあるものだから、返信は本当に難しかった。
「誘えなくて寂しかった」
それだけ、書いた。
「しょうがないなあ」
美佳の返信はこれだけだった。
「?」となっていた数分後
アパートのドアがノックされた。
美佳のダイエットは、結局三週間で終わりになった。
お腹がすいてついに、我慢できなくなったのだと思った。
口が裂けても言えないけれど。
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