第124話春の大雨

ようやく仕事を終え、外に出ようとしたら、全く予想外の大雨。

とても「濡れて行こう」などの風情は、からっきしない。

しかたがないから置き傘を取り、再び外に出ようとすると、美紀が駆け寄って来た。


そしていきなり文句

「この大雨に置き去りにするんですか?」

だから聞き返した。

「傘もないの?」

すると、ちょっと反発声

「何を聞いているんですか!大雨です!折りたたみだと濡れるんです!」

とても、それ以上は聞き返せない。


結局、傘の大半の部分は美紀に取られ、俺の身体半分は、「びしょ濡れ」だ。

やっとのことで駅に着いたら、美紀がまた何か言って来た。


「ほらーーー!傘のさし方も下手ですねえ!」

「もっと、密着するくらいじゃないと、濡れるんです」

「まったく世話が焼けますねえ!」


・・・世話を焼いたのは、俺の方だけどなあ・・・



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