第32話生身の女

「まったく!」

「どうして、こんなに脱ぎっぱなし?」

「ゴミ箱もティシュで一一杯!」

「洗濯物だって、たたんでない!」

「どうして?」

「生活乱れっぱなし!」

美紀の怒り声が二日酔いの頭にハンマーパンチのように響いてくる。


「・・・そんなこと言ったって」

連日の飲み会で風邪ひいて寝込んでいるなんて、何ら抗弁の理由と認める美紀ではない。


だけど、どうして美紀が部屋にいるんだ?

そもそも、家だってここは久我山、美紀は西荻窪のはず。

ハンマーパンチで揺れる頭を懸命に持ち上げる。


「あんたね!ドアだって開けっ放し!」

「それに何?この写真集!」

「紙の女より、生身の女でしょう!」


束ねた写真集による頭部への一撃の後、生身の女による責めが、延々と続いた。






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