第15話古い民話より

その昔

ある国に 父親思いの 娘がいました。


その家は 父親と娘の二人暮らしでした。

娘は妙齢となり 結婚したいという相手ができました。


しかし 父親はどうしても 結婚を許してくれません。

娘は 相当思い悩み、しかし 彼との愛を選び、駆け落ちのようにして、家を出ました。


家を出てからの暮らしは 苦しいものでしたが 夫と協力しあい、子どももでき、立派な家も建てました。


結婚して以来、父親の家には帰ることもためらわれ、戻ることはありませんでした。

しかし どうしても 父親の顔が見たく、また父親に孫の顔を見せたく思い、家に戻ることにしました。


家に入っていくと 驚くことに 血の気のない顔をして横になっている娘(自分)がいました。

駆け落ちをした日から、その姿となり、ただ寝ているだけで、まったく応えないとのことでした。


しかし、駆け落ちした娘が近づくと、二人は一人となり、その後父親、夫、子どもたちと幸せに暮らしたとのことです。


駆け落ちした娘と、寝たきりの娘と、どちらが本当の娘なのでしょうか・・・

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