第24話 『??』をリメイクしてみた

「性転換ネタってどうかしら?」

「どうかしらも何もあるか」


 昔話でやるつもりか。


「リメイクにはそんなパターンだってあるじゃない」

「それは否定しないが」


 だが、題材次第ではシャレにならんことになる。

 桃太郎や裸の王様を性転換したら一気に児童ポルノになりかねない。


「大丈夫よ。むしろ逆だから」

「と言うことは、女を男にするのか」


 それなら大丈夫かもしれない。


「それじゃ、今回はこの作品のメインを性転換してみます」


 取り出したるは一冊の絵本。

 親指姫か、それともかぐや姫だろうか?


「『雪女』改め『雪男』」

「ちょっと待て」


 妖怪をUMAに変えるんじゃない。


「『ある所に、茂作しげさく巳之吉みのきちという木こりの親子がおりました。ある日、親子は雪山で吹雪に襲われ、木こり小屋で一夜を明かすことになりました』」


 果たして大丈夫なのか。


「『今夜はここで泊まるより、仕方あるめえ(茂作CV大塚明夫)』『うんだなあ(巳之吉CV玄田哲章)』」

「何だその無駄に渋いキャストは」

「『囲炉裏の火に当たりながら二人はすぐに眠り込んでしまいました。その夜、風で都が開き、雪が舞い込んできました。』」


 雪女……もとい、雪男の登場シーンか。


「『誰だ、そこにいるのは』『そこに姿を現したのは、毛むくじゃらの醜い人型の獣でした』」

「UMAのままか」


 雪女の男版にするかもしれないという期待はするべきではなかった。


「『雪男は、茂作に白くたくましい腕を振り下ろしました』」

「殺し方が力技!」

「『ぶるあああああ!(CV若本規夫)』」

「よりによってそのキャスティングか!」

「『茂作を殺した雪男は、その拳に血を滴らせ、巳之吉に近づいてきます』『た、助けてくれー!』」

「そりゃ怖いわ!」


 これは怪談じゃなくてサスペンスかパニックホラーだ。


「『貴様はぁ、まだ若々しいぃぃ……命だけは助けてやろぉう』」

「若本ボイスが怖い!」

「『だが、今夜のことを誰かに話したら、その時はお前の命はないぞ』『そう言うと雪男は、降りしきる雪の中に消えて行きました。』『ぶぅははははは!』」

「余計な笑い声を入れるな」


 脳内で再生されてしまった。


「『一年後のある日、巳之吉の家の前に一人の女(?)の人が立っていました』」

「その疑問符は何だ」

「『その女は毛深くマッスルだったのです』」

「お前のような女がいるか!」

「『ワシの名は……もとい、私の名はお雪、雨に降られて困っております(精一杯の高い声)』」

「ワシって言ってるじゃねえか!」


 怪しすぎる。


「『失礼しまーす』」

「しかも勝手に上がり込みやがった!」

「『人の好い巳之吉はそのまま押し切られて、お雪と夫婦になりました』」


 嫌だ、こんな押しかけ女房。


「『幸せな暮らし(?)が続いたある日、お雪の横顔を見て、巳之吉は遠い日のことを思い出したのです。』」


 もはや疑問符は突っ込むまい。


「『のう、お雪。わしは以前にお前の様に美し……ウツクシイオナゴを見たことがある』」

「心にもない言葉が!?」


 無理すんな巳之吉。


「『山で吹雪に会っての。その時に会ったのが……ゆ、雪男』」

「すげえ言いづらそう」

「『すると突然、お雪が筋肉の膨張で服を破り、全身から闘気を迸らせながら巳之吉に振り返りました』」

「逃げろ巳之吉!」

「『あなたぁ……とうとう話してしまったのね。あれほど約束したのに』」


 怖えええええ!


「『だがぁ……子供たちのことを考えると、お前は殺せぬぅ……せめて子供たちを立派に育てるのだ』」

「子供いたのかよ!」


 そこは原作に忠実なのか。と言うかどうやって作った。


「『実は、巳之吉は男装女子だったのです』」

「こっちも性転換してたのかよ!」

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