第2話「理由」
利尻島という日本最北端の地で生まれながら、祖父は「東京大空襲」を経験しました。
後日談ではありますが、
その事実を、家族は誰も知らなかったようです。
祖父から聞いた話を母に伝えると、母はとても驚いていました。
母>
「おじいちゃんがそんなことを言っていたの。。お母さん、おじいちゃんから戦争の話自体聞いたことないんだよね。」
その後、母は妹を呼び、
母>
「父さんが戦時中、東京にいたって話、あんた聞いたことがある?うちの子が父さんから聞いたんだって。」
母の妹>
「聞いたことないよ!えー!父さん、東京で戦争を体験してたの??」
母は何かを考えたように、
母>
「おじいちゃんももう88歳だね。きっと自分の命があと少しだから、自分の経験してきた人生を誰かに聞いてほしかったんじゃないかな。おじいちゃんね、戦争体験を講演してくださいって頼まれることもあるらしいんだけど、今まで引き受けたことがないのよ。それくらい話したがらないの。けど、あんたには聞いて欲しかったんだね。」
27歳になってはじめて明かされた、祖父の戦争体験。
なぜこのタイミングで書き綴ろうと思ったのかは分かりません。
けれど、自分の中でこの記憶が薄れる前に、残さなければならないと思いました。
祖父の生きた証を、祖父が見たあの時代の様子を、誰かが次の世代に伝えていかなければいけない気がしました。
私が祖父のためにしてあげられることは、これくらいしかないのです。
自分の特技である「記憶力の良さ」と、趣味である「文章」を、
今こそ、自分の大切な人のために使っていきたいと感じます。
そう思ったとき、私は突き動かされるように、この文章を書いています。
祖父が生きたあの時代の記憶を、多くの方に読んでいただけたら嬉しいです。
大昔の話ではありません。
自分のおじいちゃんが経験した、つい数十年前の日本の様子なのです。
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