リアル世界が崩壊寸前なんだが。

はじめ

始まり

あぁ、暑い。



夏の日差しがカーテンの隙間から顔を照らし、じわじわと熱を蓄積させる。

僕は日射しから避ける為にダンゴムシのように体を丸めた。



八月に入り、高校最後の夏休みも残り半分。周りは就活や受験勉強で忙しい中、昼間からベットでだらだら過ごしてる僕はきっとダメ人間に観られてるだろう。



「みゃぁ~」



ふと、そんな鳴き声と共に僕の隣に現れる客人。その客人は手に頬ずりすると、ぺろぺろと頬を舐めだした。



「もも~、お前だけだよ僕の癒しは」



頭を優しく撫でると嬉しそうに目を細め、体全体を預けてくる。



二ヶ月前に飼い始めた子猫。

我が家に来た当初から僕にべったりで、お風呂の時も離れようとしない甘えん坊さんだ。ただ、父親には何故か懐かない。少し撫でようとしただけで、引っかかれる始末だ。



前までは毎日のように懐かせようと格闘していたが、ここ最近は諦めたらしく遠くからじっと見るだけになった。



なんて哀れな。



「ももはなんで父さんには懐かないんだろうね?」



「みゃぁ?」



「このやろー、小首傾げて可愛いぞ!」



わしゃわしゃと頭を撫で、ももを抱きかかえると僕はそのまま起き上がった。



「そういえば、今日は父さんも母さんも仕事だっけ……もも、お腹すいたよね。お昼にしようか」

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