第9話 紅茶の等級(グレード)

 それではまた紅茶に関するコラムを作って行きます。ちょっと箸休めにご覧頂けると有り難いです。


 今回は、紅茶の『等級(グレード)』についてです。


 さて、等級というとその紅茶葉の品質と思われると思いますが、実はちょっと違っていて、その紅茶葉の大きさの事を指すんですね。


 紅茶の茶葉が細かくなればなるほど抽出される成分は早く出てくるので、蒸らし時間を短くする訳なのです。


 で、その紅茶葉の大きさは、パッケージにアルファベットで書かれている事がほとんどです。そのアルファベットの解説をしていきます。






●OP(オレンジ・ペコー)

 茶葉の大きさが5~3mm程度の、比較的大きいタイプの茶葉。収穫した紅茶葉をほぼそのまま製茶するモノで、『フルリーフタイプ』とも言われます。

 また蛇足になりますが、収穫する茶葉の、新芽から数えて2枚目の葉の事もオレンジ・ペコーと言います。

 葉が大きいので成分の抽出もゆっくりなため、蒸らし時間も3~5分程度になります。


●BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)

 オレンジ・ペコーの茶葉を荒く砕いたタイプの紅茶葉。大きさは2~3mm程度。

 砕いてあるため成分の抽出は少し早く、蒸らし時間も2~3分程度と短くなります。

 スリランカの所謂セイロン紅茶は、このグレードで作られる事が多いです。


●F(ファニングス)

 ブロークン・オレンジ・ペコーよりも細かく、およそ1mm程度。やはり砕いてあるため、成分の抽出は早く、およそ1分くらいでも大丈夫です。

 ティーバッグの中身として使われる事もあります。また、有名な『フォションのアップルティー』はこのグレードの茶葉になっています。


●D(ダスト)

 紅茶を製茶する際にふるいに掛けて取り除かれる、本当に細かく砕けてしまった茶葉。

 細かいのでやはり蒸らし時間は1分程度で、茶漉しなどではすり抜けてしまうため、ティーバッグの中身として使われます。






 大体このくらいに分けられるのですが、Dだから値段が安いとかOPだから必ず美味しいとかそういう事はなく、淹れ方の目安になるだけです。


 またこれ以外に『CTC』という紅茶葉があります。これはグレードではなく茶葉の加工方法であり、茶葉を『潰して(crush)・引き裂いて(tear)・丸める(curl)』という加工をするため、英単語の頭文字を取って『CTC』と呼ばれています。


 加工されているため成分の抽出がやはり早く、なおかつ顆粒状になっているため扱いやすく、よくロイヤルミルクティーやマサラチャイの茶葉としても使われます。





 袋を開けなくても中の紅茶葉の状態が分かるため、目的別に購入する事が出来る訳です。


 OPの紅茶でゆったりストレート、BOPでしっかり抽出してミルクティーなど、その時に応じて紅茶葉を使い分けるのが良いかと。私もよくやっています。是非参考になさって下さい。

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