大森駅開業１４０周年～日本初の鉄道、大森を走る～

第1話東西両京が東海道線で結ばれた

　大森を走る東海道線は、東京と京都・大阪を結ぶ日本の大動脈の一つだ。東海道本線の新橋～横浜間は、日本で最初に開業した鉄道区間だが、元々、横浜港と東京を結ぶ支線的な位置づけだった。東京と京都・大阪を結ぶ鉄道幹線は、当初、中山道ルートで検討されていた。舟運があり、街道の輸送がすでに発達していた東海道ルートに比べ、本州の中央部を通る中山道に鉄道を敷設すれば、太平洋側と日本海側を結びつけることができると、明治政府は考えていた。

　しかし、中山道ルートの工事計画が具体化するにつれて、長野・岐阜両県の地形が思いの外険しく、建設工事が困難であることが判明。東海道ルートで心配されていた箱根越えも、御殿場方面に迂回することで勾配問題をクリアーできるめどがついたため、１８８６（明治19）年、東西両京を結ぶ鉄道幹線を、中山道ルートから東海道ルートに変更。こうして、東西両京を結ぶ東海道線が開通することとなった。