第191話 仇討

関越自動車道



夜空に際立つ真っ赤な焔



光輝を放つ炎上した残骸がシダレヤナギの様に地上へと降り注いだ



集落の民家や畑に相次いで墜落し、ミサイルに引火したのか、2次、3次と誘発的な爆発を引き起こした。



燃え上がる一軒家と共に



ホーネット3番機が無惨にも撃墜され…



破壊された。



目の前での部下の死に



地上600メートル上空を飛行するミューラーが頭を真っ白にさせた。



何て事だ……



ロクサーはアメリカ合衆国デラウェア州北部に位置するニューアーク出身



本国も同様のバイオハザードにみまわれ、続々と軍が引き上げる中



ロクサーは



唯一 この地に留まり俺についてきてくれた部下の1人



そういえば…故郷には付き合って2年半になる彼女がいるとか言っていたな…



そんな大事な人がいるにも関わらず…デラウェアに帰る事なくこの地に残ってくれた…



あいつは口は悪く、高慢な所もあるが戦闘機の腕は確かだった…



そう…



優秀なパイロットだった…



そんな優秀な戦闘機乗りを…



大事な部下を…



俺は…



みすみす奴を戦死させてしまった…



フィリップ「The Captain…What did you for captain?(キャプテン…キャプテン何があったんですか?)」



メイソン「What happened to Roxa?(ロクサーはどうしたんですか?)」



後続を掃討するホーネット2番、4番機から無線通信が入ってきた。



ロクサーを止められなかった…



フィリップ「Communication is not connected to Roxa……Please answer(ロクサーと連絡が繋がらないんですが……返事してください)」



俺の責任だ…



あいつを止める事が出来なかった



俺のせいで…



メイソン「The Captain…?」



俺のせいであいつを失ってしまった…



大事な部下を…



メイソン「please reply(応答してください)」



無念だったろう…



お前の代わりに



お前の仇は俺がしっかりとってやる…



俺があれを叩く…



目の色を取り戻したミューラーが無線に応じた。



ミューラー「First fighter.(こちら1番機)」



フィリップ「That is a relief…How did you do Roxa?(良かった…ロクサーはどうしたんですか?)」



ミューラー「Roxa died.(やつは死んだ)」



フィリップ「What…」



ミューラー「It was just shot down

and was die on the battlefield.(たった今撃墜され戦死した)」



メイソン「Is it a joke…?(ジョークでしょ…?)」



突然な仲間の訃報を受けたメイソンとフィリップに衝撃が走った。



数秒間 言の葉を失ったそれぞれのコックピットに沈黙が流れる。



語気を荒げたフィリップの口から



フィリップ「I go to help I will kill.(加勢に行きます 殺してやります)」



ミューラー「No Continue just Cleaning it up.(駄目だ…そのまま掃討を続けろ)」



フィリップ「Roxa is old relationship……My buddy was mudered by zombies.(ロクサーとは古い仲です…そんな仲間を奴等に殺された)



ミューラー「You just continue it and accomplish a duty.(そのまま続行し、任務を遂行しろ)」



フィリップ「But…」



メイソン「Philip! Roxa is killed right in front… A captain makes a hit of an eye.(フィリップ! キャプテンは目の当たりにしてる…目の前でロクサーを殺されたんだ)」



戦車上空をクルクルと空中旋回するホーネット1番機



ミューラーが肉眼で戦車を視認した。



メイソン「Guess What would the zombies do?(察しろ で…なら奴等はどうするんですか?)」



視線を戦車に向けながら、静かに、そして怒りを込めた口調でミューラーが言葉を吐いた。



ミューラー「I bring that tank to end(あの戦車は俺がケリをつける)」



大きくターンした機体



ミューラー「I shoot that tank by my hand.(俺の手で葬る)」



操縦桿が強く握られた。



ミューラー「You reduce the number as much as possible.(おまえ等は出来うる限り数を減らせ)」



ミューラー「Kick around(蹴散らせ)」



フィリップ「Yes sir」



メイソン「Hooーyah」



翼を傾かせバンク(横転)した機体がそのまま高度を下げ、一旦水平飛行するや再び斜めにバンクさせスライスバックされたスーパーニードルアロー1



急降下した機体が、地面スレスレで水平を保ち戦車の背後へとつけた



地表15メートルを時速200キロまで減速させたホーネット



800メートル先の戦車の後部が見る見る近づき、ミューラーが操縦桿のボタンをプッシュした。



ドゥルルルルルルルル



高速回転したバルカンから発射された機関砲



後部にへばりつく数体の感染者頭部、上体が一瞬にして消し飛んだ。



下半身から上が瞬間的に吹き飛ばされ、小さな断片した肉塊、パンツゥーロケット砲が地面へと落下



手すりに掴まる手首から手のみを残し



数体の置き去りの下半身も後から追うように戦車から落ちて行った。



装甲に無数の弾痕



だが…貫いてはいない



戦車のウィークポイントは側面…



ミューラーが操縦桿を操るや、機体が直線の軌道から外れ、横へとそれて行く



その間素早くミサイルを選択するミューラー



胴体下部に位置されたガンポッドが作動し、スラムから換装されたマーベリックが発射位置につけられた。



サイドからのアタックへ向け、大回りで機体を旋回、戦車の側面へと周り込もうとした時だ



ブシュュュュュユユ



ブシュュュ  ブシュュュュュ



ブシュュュュュ ブシユユユユ



5発ものロケット弾が飛翔して来た



トゥトゥトゥトゥトゥトゥトゥトゥ



小刻みな警告音が機内に発令される。



ホーネットは迅速に回避運動を行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る