第164話 要撃

残りの幼虫さん達… 理沙に注目…



100体近い感染者やゾンビが女王へと視点を向け、虚脱な瞳、生気を欠いた瞳が理沙へと注目を集めた。



あの上で勝ち誇ってる猪口才(ちょこざい)な人間を骨の髄まで食べ尽くして…



理沙がエレナへ不敵な笑みを浮かべながら



理沙「この子は駄目だけどぉ~」



ハサウェイ「…」



すると 理沙が口に出し、声を張り上げた。



理沙「残りのみんなぁ~ あ~との…ここにいる全ての害も…」



エレナの瞼、ハサウェイ、純や、由美、矢口の目蓋が上がった。



振り返り、エレナが大声で叫んだ



エレナ「みんなぁ~ 逃げてぇぇ」



左手を振り下ろした理沙



理沙「…今すぐに排除なさい…」



襲いかかって来る…



危機を察した4人



残りのゾンビ等が一斉に顔を向けてきた。



グチャグチャに潰れた顔面



両目がくり抜かれ、腐敗する顔面



背広や制服姿の元リーマン、元OLが歯を剥き出しにして、ハサウェイ等4人を熟視した。



半分は芹沢に襲いかかり



理沙「かかれ」



合図と共にもう半分のゾンビの集団が動き、一歩を踏み出した瞬間



タタタタタタタ パァン パン パン



自動小銃と拳銃から弾が放たれ、先頭に撃ち込まれた。



先制でインターセプトする矢口、由美の銃口から硝煙があがり、小銃から排莢された熱さの残る薬莢が何個も床を転げた。



銃弾を浴びた先頭が仰け反り、ドミノ式にバランスを崩しながら倒れ込むゾンビの集団



この隙に…



既に動いていたハサウェイと純やが素早く観音式の両扉を開いた。



矢口、由美も銃を構えながら足早に後ずさり外へと飛び出す



ハサウェイ「行くぞ」



廊下に飛び出した4人は走った。



純や「エレナさんはどうします?」



ハサウェイ「きっと大丈夫だ… それより素手か?」



純や「え…はい…」



矢口「これ使って下さい」



矢口からアンカライトナイフが手渡される。



由美「きゃあ 来たよ」



4人が後ろへ振り返り瞥見(べっけん)するや



荒々しく扉が開かれ、亡者の群れがなだれこんできた。



一つ目のドアが開かれ、手招きで矢口と由美を待つハサウェイ、純やの姿



ハサウェイ「早く来い」



にぎわい、繁茂した奴等が通路に溢れ、襲いかかって来た。



我先に突っ込んで来る1体の感染者が視点の定まらないキチガイな走行姿を見せる。



両腕を前に掲げ、向かって来た。



純や「早く来て」



矢口が小銃の連射機能を単発に変えながら小走りで入り、由美も拳銃を構えながら後ずさりで入るやドアが閉められた。



由美「エレナさんはどうするんですか?このまま置いてく訳には…」



ハサウェイ「エレナはきっと襲われない 置いてはいかないよ だけど…今はあの集団を何とかしないとこっちがヤバい いいから行くよ」



純や「行くったって何処へ?」



すぐに扉が激しくドンドンと打っ叩かれた。



ハサウェイと純やはダッシュで廊下を走り、次の扉へと近寄る。



また後ろ早歩きで銃を構えながら要撃態勢で後退する矢口と由美



由美「弾、全然足らないですよ…ヤバイですね…」



矢口「えぇ…」



ハサウェイが非常階段の扉を開けた途端、猛烈に黒煙が入り込んできた。



咄嗟に嫌悪の表情で口を覆うハサウェイ



純や「う…ゴホォ ヤバイなこれ」



ハサウェイ「有毒だからな みんな煙りを吸い込むなよ」



ハサウェイが腕で口を押さえながら階段上下を見渡した。



近いな…



何処まで火災が迫ってる事やら…



上には行けない…



殴打音に混じり、後方のドアノブが捻られた。



銃を構えて後ろを見張る矢口と由美



由美「入って来ます」



矢口がスコープを覗き、照準を定める。



矢口「えぇ」



純やも口を押さえ込み、焦りの表情で階段を見渡した。



純や「上ですか?下ですか?」



ハサウェイは迷いながらキョロキョロ見渡し、ふとある物へ目を止めた。



B3…



騒ぎ声が谺(こだま)する扉の先で…



ガチャガチャとドアノブが鳴り



扉が開放された…



そして奴等の来攻



タン



姿を見せたと同時に額が撃ち抜かれ、崩れた感染者



だが… お構いなく、奴等はエリアへと押し寄せてきた。



タン またも単発で発射された弾丸



銃器がリコイル(反動)し矢口の肩を押した。



矢口「まだですか? 早く 来たぞぉ」



ハサウェイ「よし こっちだ 行くぞ」



ハサウェイが階段を下り始め、純やもそれに続いた。



純や「2人共 下だよ 早く行こう」



タン パァン パン



走って向かって来る感染者の頭部が被弾で反り返り、ゾンビ2体も銃弾を受け、前屈で床へとうつ伏せた。



矢口「よし行こう」



頷く由美



2人も外へ飛び出し、ドアを閉めるや、すぐに迫る集団の足音が響いてきた。



直後に



バン バンバン ドン ドン



激しい叩音を轟かせ



その直後に…



すぐにノブが捻られ、ドアが開けられた。



奴等の集団が今度は非常階段へと押し寄せる。



黒煙が充満する非常階段は奴等で溢れおしくらまんじゅう



そのまた直後に…



徒党を組み、降りて来た。



先頭を下るハサウェイと純やがB1を通り過ぎていく



純や「ゲフゥ… 煙い…」



晦冥(かいめい)なる黒色に染まった煙りの世界



そんな不十分な視覚の中を2人は足早に階段を降下して行く



純や「ガハァ 何処へ行くんです?」



ハサウェイ「さっき館内地図が貼ってあった…この下に機会室ってのがある」



純や「機会室?ゲハゲホ」



ハサウェイ「この下にビルの空調設備やら電気系統やらの制御室があるみたいだ そこに行く」



純や「ゴホォ 見えないっすね…ゴホ そこへ行ってどうするんです?」



ハサウェイ「奴等をそこに誘い込む」



純や「その場所へ誘い込むって…?あの数をですか?ゲホォ…上手く行きますかね…」



ハサウェイ「矢も弾も足りない…あの数を素手で相手しなきゃならないんだぞ そんなの無理だろ」



純や「何をするつもりです?」



ハサウェイ「そこへ誘い込み…奴等をそこに閉じ込めてやる…… 俺がやる」



純や「そんな…ゲホォ…そんな身体で無茶です…」



ハサウェイ「純や 今はおまえと押し問答してる時間は無い、いいから俺がやる 言う通りにしろ」



「ぐぎぁぁああ 愛をくださぁい~街コン、ぉ見合い324156875連敗中 」



パァン



パァン ターーン



純や「へいへい」



黒の煙幕に包まれた非常階段



声のする方向に発砲され、沈黙された。



ガチィ ガチ



矢口「クソ 弾切れだ」



そう吐き捨て矢口がARを投げ捨てた。



由美「なら早く2人の所へ」



矢口「女の子1人置いてけない」



由美「私なら大丈夫です 弾はまだちょっとあるので 迎撃しながら行きますから早く 2人を見失っちゃう」



「や家賃が105000ウぉォン、光ね熱費15000イェン…保険各諸経…」



パアン



階段を転げる音と共に沈黙した感染者



由美「早く行って 私もすぐ追いますから」

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